歯医者でレントゲンを撮るのはなぜ?
2025/07/02
歯科医院で「クリーニングをお願いします」と言ったのに、なぜかレントゲンを撮影された・・・という方も多いと思います。今回はそれがなぜ行われるのか? どのような目的があるのか、についてお伝えします。
1 歯周病の進行を診る
レントゲン撮影というと、「虫歯の確認」を想像される方も多いと思います。もちろん「虫歯の有無」を確認しますが、それと同じくらい大切な目的で「歯周病の進行状態を診る」ということがあります。
クリーニングを希望されて来院された方で、レントゲンを撮影する場合には、虫歯の他に、「クリーニングの目的」である『歯周病予防』の観点から、レントゲンを撮影する場合が多くあります。同様に大切な検査が「歯茎の検査」です。
歯周病というのは「歯の周りの病」であり、歯を支える骨の病です。歯周病が進んでいる方は、歯を支える骨(歯槽骨)の量が健康な方より少なく、その分歯を支える力が衰えています。この状態を確認するためには、レントゲン撮影し、歯を支えている骨(歯槽骨)がどの程度残っているかを確認することが大切です。
レントゲンを絵として表現すると 次のようになります。
このように、歯を支える量が低下していく病態が「歯周病」です。つまり、歯周病を放置すると、いつの間にか歯がグラグラし、最終的に抜けることになります。
関連:歯周病の怖さについて
2 虫歯の有無を診る
レントゲン撮影では、虫歯がどの程度内部で進行しているのかを知ることがある程度可能です。とりわけ、「過去に治療をした歯」(詰め物をした歯、被せ物をした歯など)は、虫歯の再発の可能性が高まります。
虫歯治療は、終えて完了ではなく、その後のケアによって再発の可能性が大きく変わります。1度でも虫歯治療を過去にしたことがある方は、定期的に歯科医院でレントゲンを撮り、状態を確認することが大切です。
3 歯の破折を診る
過去に神経治療をした歯というのは、すでに栄養をもたらす血管がないため、脆く枯れ木のような状態となっています。また、神経が存在しないため、虫歯になっても痛みを感じません。
その結果、いつの間にか虫歯が進行したり、脆くなっている部分にヒビが入ることがあります。
これらを放置することで、破折という結果を招きます。レントゲン撮影を行うことで、早期予兆を確認することができますので、今後の予防的な対応にもつながります。
4 歯の周囲を診る
歯の根の周囲を診ると、炎症度合いがわかる
虫歯が感染し、それを放置することで、虫歯菌が神経感染を起こし、さらに神経が壊死すると「歯の外側の組織」にまで炎症が波及します。このような状態を「歯の根尖部の炎症」と定義し「根尖性歯周炎」と呼びます。
この病態になると、噛むときの痛みや、何もしなくても痛いなどの症状が現れます。
レントゲン撮影により、根尖部にどのような症状が起こっているかを確認することが必要です。
5 その他(親知らず、歯根膜、先天欠損歯など)
親知らず
歯根膜:歯の根を覆う膜(歯根膜)の炎症
先天欠損歯:特に小児の場合
まとめ
歯の病の多くは、「早期発見」をし、「適切な対応」を行うことで、予後を良くしていく可能性が高まります。どうしても視診(目で診る検査)や触診(器具で触って検査)などでは限界があります。
必ずレントゲン撮影を通じ、現在の状況、今後の状況への対策を一緒に考えていくことが、患者様と歯科医師双方にとって意義が高まります。
ぜひ、最低でも2~3年に1度は、レントゲン撮影を通じ、現在の状態を確認してください。
*歯科医院のレントゲン被ばくは非常に少ない(資料1)ですので、この点も心配することはありません。
資料:環境省HP
神保町野本歯科医院 野本幸平
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