虫歯を放置するとどうなる?

      2025/06/07

虫歯の原因と注意すべきこと

虫歯とは何か?

むし歯は、口の中にいる虫歯菌により生じるものです。日々、私達が食べたり飲んだりするものには「糖分」が含まれています。この糖分を餌にして、虫歯菌は「酸」を作り出します。これによって歯が溶けたものを「虫歯」と言います。

 

虫歯の予防はどうすればいいか?

あらゆる人のお口に虫歯菌は存在します。これは正常なことです。問題は、これをできるかぎり増やさないようにすることと、「虫歯菌が酸をつくりにくいような環境を整えること」です。例えば、「缶コーヒー(糖分あり)」などを毎日複数本飲んだりすることは、虫歯をつくることに大きく寄与する生活習慣になります。いくつかは無糖のコーヒーにしたり、量を控える等し、工夫をすることが重要です。

 

虫歯の症状は?

虫歯というと、「痛い」というイメージがありますが、初期段階においては痛みを生じることはほとんどありません。問題は、それを放置し進行させてしまった場合なのです。虫歯が大きくなると、痛みが出るだけでなく、歯の内部にある歯髄(歯の神経)にまで炎症が及んでしまい、とてつもない痛みを引き起こすことになります。近年の研究では、その菌が全身に細菌が回ってしまうことも判明しています。

歯の構造は、「目に見える白色」の部分(エナメル質)と、その内側と下部を構成する目には見えない象牙質に大別されます。しばしば、歯茎が退縮すると黄色い部分が見えますが、それが象牙質です。歯の内部もこの象牙質で構成されています(絵1)。

(絵1)

この黄色い象牙質の中には、「栄養」を与えるための血管と、「感覚」を伝える神経が並行して含まれています。しばしば人が「歯がしみる」と感じる理由は、虫歯菌によって歯の構造が壊され、外の空気と、歯の内部にある神経とが「触れる距離」が縮まるためです(絵2)。

(絵2)

そのため、私達歯科医師は、この欠損を人工的な材料で補う治療を行います。その結果、空気からの距離を遠ざけ、しみる原因を人工的に封鎖することができます。つまり、これは完治ではなく、あくまで人工材料で補っているだけなのです。したがって、改めて虫歯が再発する可能性も十分にあり得るのです。

 

痛みの個人差はなぜ起こる?

たとえ同じ大きさの虫歯であっても、ある人は激痛を伴い、神経を抜く治療をしなければならず、ある人はそこまで至らずに済むことがあります。それはなぜか?

それは主に、歯の神経の形の違いです。絵3をみてください。この方は神経の形が比較的フラットなため、虫歯菌との距離がある程度残っていることがわかります。この場合、虫歯を除去し、再発しないようにしっかりと封鎖をすれば、痛みは治まります。欧米人はこのようなフラットな神経の方が多い傾向にあります。

(絵3)

一方で、絵4を見てください。こちらの方は、神経の形が鋭利です。したがって、虫歯との距離が非常に近くなっている(あるいはすでにぶつかっている)状況にあります。このような場合は、神経そのものに虫歯菌が感染を起こしてしまい、非常に強い痛みが起こるリスクが高まります。日本人は欧米人と比べると、このような鋭利な形の方が多い傾向にあります。

(絵4)

したがって、歯医者で治療を受ける時には、「画一的な治療」を受けるのではなく、その人の神経の形を踏まえた対応が不可欠になります。治療方法の違いにより、予後は大きく変わってくるためです。

 

虫歯ができるメカニズム

口の中には多種類の細菌が数多く存在します。その中には虫歯菌に限らず、歯周病菌も含まれます。虫歯の病原菌は、『ミュータンス菌』と呼ばれます。

この菌の大好物は、飲食に含まれる糖分です。私達が磨き残したこれらの糖分を栄養源とし、どんどん増殖します。ミュータンス菌は、糖分を食べる時に、接着剤のような粘着物質を出し、それによって歯の表面に付着します。それがたくさん集まってきたものを「歯垢(プラーク)」と呼びます。

この細菌の怖い所は、粘着物質のみならず、「酸」を作り出すことです。その結果、プラークの内部は酸性になり、歯の表面を酸によって溶かしていきます。

この状態を放置してしまうと、いわゆる「虫歯」が生じてしまいます。

 

虫歯を放置するとどうなるの?

虫歯の広がりは、「歯の表面」にある「エナメル質」からはじまり、それが次の層である「象牙質」にまで広がっていきます。エナメル質は頑丈なため、虫歯もすぐには広がりませんが、象牙質は柔らかいため、虫歯の進行は早まります。

しかし、実はこの段階ではほとんど痛みがありません。それが虫歯を気づけない理由です。その状態を放置していくと、それは歯のさらに内部にある「神経」にまで波及していきます。ここまで来てしまうと、「耐えられない痛み」「仕事もできない辛さ」になります。いわゆる「虫歯が死ぬほど痛い」と言われる所以は、虫歯菌が神経に到達したためなのです。

これを放置すると、神経が死んでしまい、歯の内部でより細菌が繁殖し、結果的に歯の外側にある、歯を支えている骨にまで感染が広がっていきます。こうなると、熱が生じたり、顎付近の腫れ、全身への悪影響が生じていきます。

 

虫歯に特に注意すべき箇所

 

「むし歯菌が付着しやすい場所≒虫歯になりやすい場所」と考えると、虫歯になりやすい場所が見えてきます。それは、「磨きにくいところ」「治療をしたところ」です。

 

要注意1:磨きにくいところ

☑奥歯の溝などのへこみ、

☑歯と歯茎の境目

☑歯と歯の間

☑歯の根面

➜加齢に伴い歯茎が退縮してきます。この退縮した部分の歯は軟らかく、虫歯になりやすい傾向にあります。

 

要注意2:治療をしたところ

☑むし歯治療をした歯の詰め物付近

➜2次虫歯と呼ばれ、歯と詰め物の間から虫歯菌が侵入することで、虫歯ができます。とりわけ、銀歯やプラスチックの治療を受けた場合は、その再発率は非常に高い傾向にあります。

なにより大切なことは、「初期段階」のうちに治療を受けてしまうことです。そして、定期的な健診を通じ、虫歯にならないことです。そのためには、ご自宅での正しいお口のケアと、歯医者さんでの専門的なケアの両輪で、歯を守っていくことが大切です。

神保町野本歯科医院 野本幸平

 

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