誤嚥性肺炎は若くても罹る?!20代、30代、40代、50代の「見過ごされがちなリスク」と対策

      2025/11/25

神保町野本歯科医院で、若年層の誤嚥性肺炎について解説

神保町駅徒歩1分の歯医者、神保町野本歯科医院です。

「誤嚥性肺炎(ごえんせいはいえん)」と聞くと、「高齢者がかかる病気」というイメージをお持ちの方が多いでしょう。
しかし、近年、若年~中年層(20代、30代、40代、50代)においても、誤嚥性肺炎のリスクが高まっていることが指摘されています。

誤嚥性肺炎は、飲食物や唾液が誤って気管に入り、そこに存在する細菌が肺で炎症を起こす病気です。
この「細菌」の多くは、お口の中の歯周病菌です。
この記事では、まず「誤嚥」と「誤嚥性肺炎」の違いを明確にし、各年代が抱えるリスクと、歯科医師として推奨する対策について詳しく解説します。

 

基礎知識:「誤嚥」と「誤嚥性肺炎」の違い

神保町野本歯科医院で、若年層の誤嚥性肺炎について解説

多くの人が混同しがちな「誤嚥」と「誤嚥性肺炎」は、密接に関連していますが、異なる状態を指します。


誤嚥(ごえん)とは?
「誤嚥」とは、飲食物や唾液などが、本来食道に入るべきところを間違えて気管(空気の通り道)に入ってしまう現象そのものを指します。
健康な方でも、急いで食べたり、笑いながら飲み込んだりした際に「むせる」ことがありますが、これは気管に入った異物を体外に排出するための防御反応(咳反射)が働いている状態です。
この防御反応が正常に機能している限り、多くの場合、誤嚥してもすぐに排出されるため、問題にはなりません。


誤嚥性肺炎(ごえんせいはいえん)とは?
「誤嚥性肺炎」とは、誤嚥した異物と一緒に、口腔内の細菌が肺の奥深くまで入り込み、それが原因となって肺に炎症を起こし、肺炎を発症した状態を指します。
つまり、「誤嚥」は現象であり、「誤嚥性肺炎」はその現象の結果として起きる病気です。

誤嚥性肺炎発症のメカニズム
誤嚥 + 口腔内の細菌(特に歯周病菌) + 免疫力の低下 = 誤嚥性肺炎

この式からもわかるように、誤嚥をしても口腔内が清潔で細菌が少なければ、肺炎を発症するリスクは低くなります。
そのため、歯科的な口腔ケアが誤嚥性肺炎の予防に極めて重要なのです。

 

若年~中年層でも誤嚥性肺炎になる3つの理由

神保町野本歯科医院で、若年層の誤嚥性肺炎について解説

高齢者に比べ、若い世代は嚥下機能(飲み込む力)がしっかりしているため、通常は誤嚥しにくいとされています。
しかし、生活習慣や体調の変化により、その防御機能が一時的に低下することで、誤嚥性肺炎を発症することがあります。


理由1:口腔内細菌の増殖(歯周病・虫歯の放置)
誤嚥性肺炎の原因となる細菌のほとんどは、歯周病菌や虫歯菌です。
口腔内細菌が多すぎると、たとえ少量の唾液を誤嚥しただけでも、肺炎リスクが高まります。

理由2:過度な疲労や体調不良による免疫力の低下
過労や睡眠不足により体力が落ちていると、咳反射などの防御機能が十分に働かず、容易に細菌が肺に定着し炎症を起こしてしまいます。

理由3:防御機能の一時的な麻痺(深酒や睡眠薬の影響)
泥酔状態や強い睡眠薬の影響下では、喉の反射が著しく低下し、夜間に唾液を無意識に誤嚥してしまう「不顕性誤嚥」が起こりやすくなります。

 

年代別に見る!誤嚥性肺炎のリスクと対策

年代が進むにつれて、生活習慣や体の変化により、リスクの種類が変化します。
各年代が持つライフスタイルと体の変化に合わせた具体的なリスクと対策を知ることが、予防の第一歩です。

 

20代・30代:「生活の乱れ」と「細菌の温床」リスク

神保町野本歯科医院で、若年層の誤嚥性肺炎について解説

この年代の誤嚥性肺炎は、主に「大量の細菌」と「防御機能の一時停止」が組み合わさることで発生します。


具体的な事例と背景

週末の深酒後の就寝
深酒をしたまま歯磨きをせずに寝てしまい、大量の細菌を含んだ唾液を誤嚥する。

夜勤や徹夜明けの早食い
慢性的な寝不足と疲労で反射機能が低下している中、急いで食事をすることでむせ、誤嚥する。

口腔ケアの意識の低さ
歯周病や虫歯を放置し、口の中が細菌の温床になっている。


歯科医が推奨する対策

口腔ケアの習慣化
デンタルフロスや歯間ブラシを併用した丁寧な歯磨きを習慣化し、口腔内の細菌数を減らす。

飲酒後のうがい
泥酔していても、寝る前に必ずうがいだけでも行うことを徹底する。

早食いの見直し
食事の際は一口の量を減らし、よく噛んでから飲み込む習慣をつける。

 

40代:「慢性疲労」と「歯周病の進行」リスク

神保町野本歯科医院で、若年層の誤嚥性肺炎について解説

仕事の責任や家庭の負担が増大し、「慢性的な疲労による免疫力の低下」と「歯周病の本格的な進行」が重なる時期です。


具体的な事例と背景

長引く風邪・疲労時の咳
疲労で免疫力が落ちているときに風邪をこじらせ、咳の反射機能が弱っている間に誤嚥が発生する。

歯周ポケットの深化
過去のケア不足がたたり、歯周病が進行して歯周ポケットが深くなり、そこに潜む歯周病菌が一気に増加する。

睡眠中の無呼吸
いびきや睡眠時無呼吸症候群(SAS)により、睡眠中に軽い誤嚥を繰り返していることがある(不顕性誤嚥)。

 


歯科医が推奨する対策

歯科の定期検診
細菌の温床となる歯周病の専門的な治療とクリーニング(PMTC)を3~4ヶ月に一度行い、細菌の数をコントロールする。

歯周病の早期治療
進行した歯周病は免疫力を低下させるため、早期に専門的な治療を受ける。

 

50代:「嚥下力の緩やかな低下」と「欠損歯の影響」リスク

神保町野本歯科医院で、若年層の誤嚥性肺炎について解説

加齢とともに嚥下に必要な筋肉(舌や喉)が衰え始め、飲み込む力の低下が顕在化し始めます。


具体的な事例と背景

「最近、お茶でむせる」
サラサラした水分が飲みにくくなり、飲み込んだ後の残渣(残りかす)が気管に入りやすくなる。

合わない義歯の使用
歯が抜けたり、義歯が合わなかったりすることで、食べ物を細かく噛み砕けず、塊のまま飲み込もうとして誤嚥につながる。

薬の副作用
服用している薬の種類によっては唾液の分泌量が減少し、誤嚥しやすくなる。


歯科医が推奨する対策

口腔機能の維持
舌の体操や「パタカラ体操」などの嚥下訓練を日課とし、舌や口周りの筋力を維持する。

欠損歯の治療
欠けた歯や合わない義歯は放置せず、適切な治療(インプラント、精密義歯など)を行い、しっかり噛んで唾液を出せる状態を保つ。

 

対策:今日から始める誤嚥性肺炎予防のための行動

1. 徹底した口腔内の清潔維持

神保町野本歯科医院で、若年層の誤嚥性肺炎について解説

誤嚥性肺炎予防の「基本中の基本」は、口腔内の細菌を減らすことです。

丁寧な歯磨きと舌苔の除去
歯周病菌が潜む歯と歯ぐきの境目、歯間にフロスなどを必ず使用し、舌ブラシで舌苔も除去します。

就寝前のケアの徹底
夜間の誤嚥リスクに備え、寝る直前には必ず丁寧な歯磨きとうがいを行い、口腔内の細菌を可能な限り減らしておきましょう。

 

2. 嚥下力を鍛える「口腔体操」の習慣化

神保町野本歯科医院で、若年層の誤嚥性肺炎について解説

飲み込む力(嚥下力)を意識的に鍛えることは、将来的な誤嚥リスクの予防につながります。
舌の体操や「パタカラ」体操を毎日行うことをお勧めします。

 

3. 食事中の姿勢と意識

食事の際は、あごを軽く引いた状態(やや下向き)で、一口量を少なくしてゆっくり食べましょう。
あごが上がると気道が開き、誤嚥しやすくなります。

 

結論:誤嚥性肺炎予防は「予防歯科」から始まります

神保町野本歯科医院で、若年層の誤嚥性肺炎について解説

誤嚥性肺炎を防ぐ鍵は、「口腔内の細菌を増やさないこと」と「飲み込む力を維持すること」の2点に集約されます。
ぜひ、この機会にご自身の口腔ケアを見直してみてください。
神保町野本歯科医院では、科学的根拠に基づいた専門的なクリーニングと、嚥下機能に関するアドバイスを通じて、皆様の全身の健康をサポートいたします。
「最近、喉が詰まる感じがする」「食事中にむせることが増えた」といった気になる症状があれば、放置せず、お気軽にご相談ください。

 



神保町野本歯科医院:https://nomodent5454.com/

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