キシリトールガムとリカルデントガム、何が違う?あなたの歯を守る正しい選び方

      2025/10/30

神保町野本歯科医院で、キシリトールガムとリカルデントガムの違いについて解説

こんにちは、神保町駅徒歩1分の歯医者、神保町野本歯科医院です。

「虫歯予防のためにガムを噛んでいます」

そうおっしゃる患者さんが、当院にはたくさんいらっしゃいます。

神保町という場所柄、忙しい仕事の合間や、ランチ後の歯磨きができないときに、手軽なオーラルケアとしてガムを活用されている方も多いのではないでしょうか。
ドラッグストアやコンビニのガム売り場に行くと、「キシリトール配合」や「リカルデント配合」と書かれたガムが並んでいます。
どちらも虫歯予防に良いとされているけれど、一体何が違うのか、どちらを選べばいいのか、迷ったことはありませんか?

この記事では、歯科医師の視点から、キシリトールガムとリカルデントガムのそれぞれの効果や役割、そしてあなたの歯の状態に合わせた選び方を詳しく解説します。

 

まずは大前提!ガムを噛むこと自体が虫歯予防になる理由

キシリトールやリカルデントという成分の前に、そもそも「ガムを噛む」という行為自体に、虫歯予防効果があることをご存知でしょうか。
ガムを噛むことで、唾液の分泌が促進されます。
この唾液には、私たちの歯を守る素晴らしい働きがたくさんあります。

酸の中和作用
食後、口の中は虫歯菌が作り出す酸によって酸性に傾きます。
唾液は、この酸を中和し、口の中を中性に保つことで、歯が溶けるのを防ぎます。

再石灰化作用
唾液には、歯の再石灰化に必要なカルシウムやリンといったミネラルが含まれています。
これにより、初期の虫歯で溶け始めた歯を修復し、元の硬さに戻す働きがあります。

自浄作用
唾液が口の中を洗い流すことで、歯についた食べかすや細菌を洗い流し、口の中を清潔に保ちます。

このように、ガムを噛んで唾液を出すだけでも、歯を守る効果は十分に期待できるのです。
そして、この唾液の働きをさらに強力にするのが、ガムに配合されている特別な成分です。

 

【徹底比較】キシリトールガム vs. リカルデントガム

では、いよいよ本題です。
この二つのガムは、一体何が違うのでしょうか?
それぞれの作用メカニズムを、より詳しく見ていきましょう。

 

キシリトールガムの正体:虫歯菌の活動を徹底的に抑制する

神保町野本歯科医院で、キシリトールガムとリカルデントガムの違いについて解説

キシリトールは、白樺の木やトウモロコシの芯から採れる天然の甘味料です。
砂糖とほぼ同じ甘さですが、虫歯の原因となる「糖類」ではありません。

キシリトールガムの作用メカニズム

キシリトールの最大の特長は、「虫歯菌をだまして、エネルギーを奪う」という点にあります。

  • 虫歯菌を騙す
    虫歯菌は、キシリトールを砂糖だと勘違いして、せっせと細胞内に取り込みます。
  • 酸が作られない
    しかし、虫歯菌はキシリトールを分解する酵素を持っていません。
    そのため、キシリトールをエネルギー源として利用できず、酸を作り出すことができないのです。
  • 自滅を誘発
    さらに、細胞内に溜め込んだキシリトールを外に出そうと、虫歯菌は無駄なエネルギーを消費します。
    この無駄な働きを繰り返すうちに、虫歯菌は弱っていき、最終的には死滅したり、活動できなくなったりします。

キシリトールガムがもたらす効果

虫歯菌の増殖抑制
継続的にキシリトールを摂取することで、虫歯菌の数が減り、虫歯になりにくい口腔環境が整います。

歯垢(プラーク)の質を変える
虫歯菌の活動が弱まることで、歯垢が固まりにくく、サラサラとした状態になります。
これにより、歯磨きで簡単に歯垢を落とせるようになります。

歯への付着を阻止
虫歯菌が歯に付着する能力も弱まるため、新たな虫歯ができにくくなります。

キシリトールガムが向いている人

虫歯になりやすい方

口腔内の虫歯菌を減らしたい方

歯磨きをしても、磨き残しが気になる方

 

リカルデントガムの正体:溶けた歯を修復し、強くする

神保町野本歯科医院で、キシリトールガムとリカルデントガムの違いについて解説

リカルデントガムの有効成分は、「CPP-ACP」という牛乳由来の天然成分です。
正式名称は「カゼインホスホペプチド・非結晶リン酸カルシウム複合体」と言います。
牛乳アレルギーの方は注意が必要です。

リカルデントガムの作用メカニズム

リカルデントの最大の特長は、「歯の再石灰化を強力に促進する」という点です。

  • ミネラルの運び屋
    通常、唾液中のカルシウムやリンは、そのままでは歯に効率よく取り込まれません。
    CPP-ACPは、これらのミネラルを安定した状態で包み込み、歯の表面まで効率よく運ぶ「運び屋」のような役割を果たします。
  • 歯の修復
    食事や酸によって溶けかけた歯の表面(脱灰)に、運ばれたカルシウムとリンがしっかりと吸着します。
    これにより、溶けた部分が修復され、元の硬い状態に戻ります。
  • 象牙細管を封鎖
    知覚過敏の原因となる、象牙質にある細い管(象牙細管)の入り口を塞ぐ働きもあるため、しみる痛みを軽減する効果も期待できます。

リカルデントガムがもたらす効果

初期虫歯の再石灰化
歯科医院で「初期虫歯(C0)」と診断された場合でも、リカルデントガムを継続的に噛むことで、治療せずに再石灰化させる効果が期待できます。

歯質を強化
歯の表面にミネラルが補給されることで、歯質がより強固になり、虫歯や酸に対する抵抗力が高まります。

知覚過敏の緩和
露出した象牙質の象牙細管を封鎖することで、冷たいものがしみる症状を和らげます。

リカルデントガムが向いている人

初期虫歯(C0)があると診断された方

歯に白濁した部分(脱灰)がある方

知覚過敏で歯がしみる方

歯質を強くしたい方

 

比較表で分かりやすく!

項目 キシリトールガム リカルデントガム

主な成分

キシリトール(天然甘味料)

CPP-ACP(牛乳由来成分)

主な作用

虫歯菌の活動抑制

歯の再石灰化促進

効果

虫歯菌を弱体化させ、酸を作らせない

歯にミネラルを補給し、歯を強くする

適している人

虫歯菌を減らしたい人

歯質を強くしたい人、初期虫歯がある人

注意点

キシリトール100%配合であるか確認

牛乳アレルギーの方は摂取不可

 

ガムを噛むときの「3つの注意点」

ただ闇雲にガムを噛めばいいわけではありません。
効果を最大限に引き出し、同時に歯や顎を守るために、以下の3つのポイントに注意しましょう。

 

1. 必ず「糖類0g」を選ぶ

スーパーやコンビニに売られているガムの中には、砂糖やブドウ糖などの「糖類」が含まれているものがたくさんあります。
これらのガムは、虫歯菌のエサとなり、かえって虫歯を進行させてしまう可能性があります。
虫歯予防を目的とするなら、必ず成分表示の「糖類」が0gと書かれているものを選びましょう。

 

2. 噛みすぎに注意!顎関節症のリスク

ガムを長時間噛み続けると、顎の筋肉に過度な負担がかかり、顎関節症を引き起こすリスクがあります。
顎関節症になると、口を開け閉めする際に顎が痛んだり、音が鳴ったり、口が大きく開かなくなったりします。
ガムを噛む時間の目安は、1日5〜10分程度に留めましょう。

 

3. 歯磨きの代わりにはならない

神保町野本歯科医院で、キシリトールガムとリカルデントガムの違いについて解説

どんなに良いガムであっても、歯ブラシや歯間ブラシの代わりにはなりません。
ガムはあくまで、歯磨きと歯磨きの間の「補助的な」オーラルケアです。
食べかすや歯垢を完全に除去するには、やはり丁寧な歯磨きが不可欠です。

 

患者さまからよくある質問に答えます!(FAQ)

Q1日何粒くらい噛めば効果的ですか?
A1日3回、食後に1粒ずつ噛むのが効果的です。
ガムを噛んで唾液を分泌させ、食後の口の中を中性に保つことが重要です。
Qどのタイミングで噛むのが一番効果的ですか?
A食後すぐが最も効果的です。
食事によって口の中が酸性に傾いた状態を、ガムを噛むことで素早く中性に戻すことができます。
Q味がなくなっても噛み続けるべきですか?
A味がなくなっても、唾液を分泌させる効果は残っています。
しかし、長時間噛み続けると顎に負担がかかるため、味を感じなくなったら噛むのをやめても構いません。
Qキシリトールガムで虫歯は治りますか?
Aキシリトールガムは、あくまで「虫歯を予防する」ものであり、すでにできてしまった虫歯を治すことはできません。
虫歯の治療には、歯科医院での専門的な治療が必要です。
Qキシリトールガムは、なぜ「キシリトール100%」がいいのですか?
A多くの市販品には、キシリトール以外にもソルビトールやマルチトールなどの甘味料が含まれています。
これらは虫歯菌のエサにはなりませんが、キシリトールのように虫歯菌の活動を抑制する効果はありません。
真の虫歯予防効果を求めるなら、甘味料がキシリトール単独、または90%以上を占めている製品を選ぶのが理想的です。
Qリカルデントガムは牛乳アレルギーの人以外でも注意が必要なケースはありますか?
Aリカルデント(CPP-ACP)は、牛乳由来成分のため牛乳アレルギーの方は摂取できません。
また、腎臓疾患などでカルシウム摂取を制限されている方は、念のためかかりつけ医に相談してから摂取することをお勧めします。
Qガムを噛むことで、顎関節症の予防にはなりませんか?
A適度な咀嚼は顎の筋肉を鍛え、顎関節の健康維持に役立ちます。
しかし、長時間噛みすぎたり、片側の歯だけで噛んだりすると、かえって顎に過度な負担をかけ、顎関節症のリスクを高めてしまいます。
正しい噛み方と時間を守ることが大切です。
Qどちらのガムも、虫歯のリスクが高い子どもに与えても大丈夫ですか?
Aはい、大丈夫です。特に、歯が生え始めたばかりの時期や、永久歯に生え変わる時期は、歯が弱く虫歯になりやすい状態です。
これらのガムは、虫歯予防に非常に効果的です。
ただし、小さなお子様の場合は、誤って飲み込んでしまうリスクがあるため、必ず保護者の方が見守るようにしてください。
Qガムの代わりに、キシリトールタブレットやリカルデントタブレットでも同じ効果がありますか?
A成分が同じであれば、虫歯菌の抑制や再石灰化促進といった効果は期待できます。
しかし、タブレットはガムのように「噛む」ことによる唾液分泌促進効果が弱くなります。
唾液の自浄作用や中和作用を最大限に活かしたい場合は、ガムの方が優れていると言えるでしょう。

 

ご自身に合ったガムを選んで、あなたの歯を守りましょう

神保町野本歯科医院で、キシリトールガムとリカルデントガムの違いについて解説

キシリトールガムとリカルデントガムは、それぞれ異なるアプローチであなたの歯の健康を守る、頼もしいパートナーです。

虫歯の原因菌を減らしたいなら、キシリトールガム
歯を強くして、初期虫歯を修復したいなら、リカルデントガム

どちらのガムがあなたに合っているかは、ご自身の歯の状態によって変わってきます。

「私にはどっちが合っているの?」

そう疑問に思われた方は、ぜひ一度、当院にご相談ください。
丁寧な診査とカウンセリングを通じて、あなたの口腔内の状態に合わせた最適なアドバイスをさせていただきます。

 



神保町野本歯科医院:https://nomodent5454.com/

〒101-0051 東京都千代田区神田神保町2-19-1 リーガルタワー神保町1F
電話:03-5276-5454

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都営地下鉄 神保町駅 徒歩1分

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