「銀歯」と「アマルガム」は別物!見分け方と正しい対処法

      2026/01/07

神保町野本歯科医院で銀歯とアマルガム(水銀)は別物! 見分け方と対処法について解説

神保町野本歯科医院の院長、野本です。

当院にご相談にいらっしゃる患者さまから時折、

「昔治療した銀歯が黒ずんでいるけれど、これって水銀(アマルガム)ですか?」

という切実なご相談をいただきます。

実は、私たちが一般的に「銀歯」と呼んでいるものの中には、大きく分けて2つの種類があります。
一つは、現在も保険診療の主流である「金銀パラジウム合金」。
そしてもう一つが、かつて頻繁に使われていた水銀を含む合金「アマルガム」です。

この二つは見た目が似ていても、成分や体への影響は全く異なります。
この記事では、アマルガムとは何なのか、銀歯との具体的な見分け方、そしてもしアマルガムが入っていた場合にどう向き合うべきかを、科学的根拠に基づいて詳しく解説します。

 

そもそも「アマルガム」とは何か?

アマルガム(歯科用アマルガム)は、150年以上の歴史を持つ歯科修復材料です。
かつては安価で、操作性が良く、殺菌作用もあったため、日本でも1970年代から1990年代にかけて虫歯治療の詰め物として爆発的に普及しました。

 

アマルガムの主成分は水銀(約50%)

アマルガムは、銀・スズ・銅などの粉末と「無機水銀」を練り合わせて作られます。
驚かれるかもしれませんが、成分の約50%が水銀で構成されています。

 

なぜ現在は使われなくなったのか

神保町野本歯科医院で銀歯とアマルガム(水銀)は別物! 見分け方と対処法について解説

アマルガム自体は固まると安定するとされてきましたが、近年の研究や世界的な環境意識の高まり(水銀に関する水俣条約など)により、以下の理由から日本の歯科現場でもほとんど姿を消しました。


環境への配慮
水銀排出を削減する国際的な枠組みへの適合。

健康への懸念
長期間お口の中にあることで、摩擦や腐食によってわずかずつ水銀蒸気が発生し、体内に取り込まれる可能性が指摘されていること。

代替材料の進化
歯科用プラスチック(レジン)やセラミックなど、より安全で審美性の高い材料が登場したこと。

 

一般的な「銀歯(パラジウム合金)」との決定的な違い

私たちが現在「保険の銀歯」と呼んでいるもの(金銀パラジウム合金)とアマルガムの違いを比較表で見てみましょう。

比較項目 アマルガム(古いタイプ) 金銀パラジウム合金(現在の銀歯)

主な成分

無機水銀(約50%)、銀、スズ、銅

金(12%)、パラジウム(20%)、銀、銅

見た目・色

光沢がなく、黒ずんだ灰色。マットな質感。

金属光沢(ピカピカ)がある。黄色味を帯びることもある。

接着方法

接着せず、穴に詰めて固めるだけ。

歯科用セメントで歯に固定(合着)する。

経年変化

腐食しやすく、周囲の歯や歯ぐきを黒く染める。

酸化して黒ずむことはあるが、形は安定している。

普及時期

1970年〜1990年代がピーク。

現在も保険診療の主流。

 

【セルフチェック】自分のお口にあるのはどっち?見分け方のポイント

鏡の前でご自身のお口の中を確認してみてください。
以下の特徴に当てはまる場合、それは単なる銀歯ではなく「アマルガム」かもしれません。


見た目の質感と色

アマルガム
表面がザラザラしていて光沢がなく、「10円玉が酸化したような黒ずみ」や「鉛のような灰色」をしています。

銀歯
磨かれた金属の光沢があり、自分の顔が映るような輝きが残っていることが多いです。


詰め物の場所と形

アマルガム
主に奥歯の溝(噛み合わせの面)に、溶かした金属を流し込んだような不規則な形で詰まっています。

銀歯
歯科技工所で形を整えてから装着するため、比較的エッジが整っており、歯全体を覆う「被せ物(クラウン)」であることが多いです。


治療時期の記憶

今から20年以上前(特に小学生〜中学生時代など)に受けた治療のまま放置されている詰め物は、アマルガムである確率が上がります。

 

アマルガム(水銀合金)が引き起こす詳細なリスク

アマルガムの最大の特徴でありリスクの源は、その成分の約50%を占める「水銀」です。

 

水銀蒸気の発生と全身への蓄積

神保町野本歯科医院で銀歯とアマルガム(水銀)は別物! 見分け方と対処法について解説

アマルガムは、お口の中という過酷な環境下で少しずつ劣化します。
毎日の食事による咀嚼(摩擦)、熱い飲み物による温度上昇、また夜間の歯ぎしりなどによって、アマルガムの表面から微量の水銀蒸気が発生します。
発生した水銀蒸気は肺から取り込まれ、血液を通じて全身を巡ります。

水銀は特に脂肪の多い組織(脳、神経、腎臓など)に蓄積しやすい性質があり、長期的な蓄積が慢性的な疲労感、イライラ、不眠、頭痛といった「原因不明の体調不良」の一因になる可能性が指摘されています。

 

歯根破折(しこんはせつ)を招く物理的特性

神保町野本歯科医院で銀歯とアマルガム(水銀)は別物! 見分け方と対処法について解説

アマルガムは、天然の歯に比べて熱膨張係数が高い(温度変化で膨らんだり縮んだりしやすい)という特徴があります。
数十年にわたってお口の中で膨張と収縮を繰り返すことで、楔(くさび)を打ち込むように歯の内側に圧力をかけ続けます。
これが原因で、ある日突然、神経のない歯が真っ二つに割れる「歯根破折」を引き起こすことがあります。
歯が割れてしまうと、多くの場合、抜歯を避けられなくなります。

 

辺縁漏洩(隙間からのむし歯)

アマルガムは歯と「接着」しているわけではなく、穴に詰められているだけの状態です。
金属そのものが腐食して形が崩れたり、端(エッジ)が欠けたりしやすいため、歯との間に目に見えない隙間が生じます。
そこから細菌が侵入し、詰め物の下でむし歯が広範囲に再発するリスクが高い材料です。

 

金銀パラジウム合金(銀歯)が抱えるリスク

現在、保険診療の主流である「金銀パラジウム合金」も、決してリスクゼロではありません。
むしろ、現代社会において深刻化しているのはこちらの課題です。

 

パラジウムによる「金属アレルギー」

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パラジウムは、ジュエリーや工業用としても広く使われていますが、実は金属アレルギーを引き起こしやすい物質の代表格です。
お口の中は唾液という電解質に満たされているため、金属が常にイオン化して溶け出しやすい環境です。
溶け出したパラジウムが体内のタンパク質と結合し、免疫系がそれを「異物」と認識することで、突然アレルギーを発症することがあります。


症状
お口の中の炎症(口内炎や舌炎)だけでなく、手足に水ぶくれができる「掌蹠膿疱症(しょうせきのうほうしょう)」や、全身の皮膚の湿疹として現れることがあり、歯科金属が原因だと気づかずに悩み続ける方も少なくありません。

 

ガルバニー電流(お口の中の微弱電流)

神保町野本歯科医院で銀歯とアマルガム(水銀)は別物! 見分け方と対処法について解説

種類の異なる金属がお口の中にある場合(例:銀歯と金歯、あるいはアルミホイルを噛んだ時など)、唾液を介して微弱な電流が発生します。
これを「ガルバニー電流」と呼びます。
常に微弱な電流が頭部の近くで発生し続けることは、脳の働きを乱し、不眠やめまい、耳鳴りといった自律神経症状を悪化させる可能性が懸念されています。


症状
金属製のスプーンが触れたときに「キーン」としたり、銀歯が浮くような違和感を覚えたりすることがあります。

 

メタルタトゥー(歯ぐきの黒ずみ)

金属がイオン化して溶け出すと、周囲の組織に沈着します。
特に歯ぐきとの境目に金属成分が沈着すると、歯ぐきがドス黒く変色してしまいます。
これは「メタルタトゥー」と呼ばれ、一度沈着すると金属を除去しても自然には消えず、外科的な処置が必要になることもあります。

 

二次カリエスの再発率

銀歯は歯と「合着(隙間を埋めるだけ)」しているため、接着剤であるセメントが寿命を迎えて溶け出すと、隙間から細菌が入ります。
金属はX線を透過しないため、レントゲンを撮っても銀歯の真下で進行しているむし歯を見逃しやすいという診断上のリスクもあります。

 

もしアマルガムが見つかったら? 適切な対処法と除去の注意点

詰め物の周囲が黒ずんでいる場合は、内部でむし歯が進んでいるサインです。
痛みがない場合でも、二次むし歯や将来的な健康リスクを考え、より安全で密閉性の高い材料(セラミックや最新のレジン)に交換することをお勧めしています。

除去時のリスク管理(重要!)
アマルガムを除去する際、最も水銀蒸気が発生しやすいのは「削る瞬間」です。
アマルガムの安易な除去は、患者さんにとって、水銀蒸気を吸入するリスクなどの危険性が高いため、アメリカのFDAやADAなども、問題なければ除去を推奨しないとしています。
やむを得ず除去する場合には、削る際の粉塵や蒸気を強力に吸い取る「口腔外バキューム」の使用や、大量の注水下での切削を行います。

 

除去した後の最適な「代わりの材料」選び

神保町野本歯科医院で銀歯とアマルガム(水銀)は別物! 見分け方と対処法について解説

アマルガムを外した後の穴をどう埋めるかは、その後の歯の寿命を左右します。

 

セラミック(インレー・クラウン)
アマルガムは歯を割るリスクがありましたが、セラミックは歯と化学的に接着するため、「歯を内側から補強する」効果が期待できます。
汚れが付きにくく、二次むし歯のリスクを最小限に抑えたい場合に適しています。

ダイレクトボンディング(高精度レジン)
比較的小さなアマルガムを外した跡であれば、最新の歯科用プラスチック(レジン)を層状に盛り固める方法もあります。

一日で治療が終わり、歯を削る量を最小限にできるメリットがあります。

ジルコニア
特に噛み合わせの力が強い奥歯の場合、非常に強度の高いジルコニアを選択することで、素材の破折を防ぎつつメタルフリーを実現できます。

 

まとめ:安全な除去は、将来の健康への第一歩です

お口の中にあるアマルガムは、過去の治療の歴史の一部ですが、現代の基準では「リスクを抱えた材料」であることは否めません。
しかし、適切な設備と技術を持った歯科医院で、段階を踏んで安全に除去すれば、そのリスクを将来の健康へと変えることができます。

「自分のお口にあるのがアマルガムかどうかわからない」
「外したいけれど、削るのが怖い」

という不安を抱えている方は、ぜひ一度ご相談ください。
私たちは、エビデンス(科学的根拠)に基づいた安全な処置を通じて、皆さまの大切な天然歯を守るお手伝いをいたします。

 



神保町野本歯科医院:https://nomodent5454.com/

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