仮の詰め物(仮詰め物)がとれても大丈夫? 取れたらどうする?
2025/06/13
仮の詰め物はなぜとれるのか?
歯医者さんに対し不信感を抱く原因の筆頭に来ることが、「仮の詰めたものが取れる」ということだと思います。今回は、なぜ仮の詰め物がとれるのか?あるいは、とれても大丈夫なのか?についてお伝えします。
1 なぜ仮の詰め物がとれるのか?
強く固定することができない
仮の詰め物というのは、最終的に行う詰め物とは異なるため、あくまで「一時的につけておく」ものです。したがって、次回の来院時に「改めて外す」ことが求められるため、いわゆる「しっかりした装着」はできない背景があります。
歯が弱くなっている場合、強く接着してしまうと「外すときの歯へのダメージ」(力をかけて外すため)が高まるリスクがあります。場合によっては、修復したものの破損や、かけてしまう原因にもなります。
したがって、「しっかりと固定する」ことができないということが、1つ目の理由となります。
歯を守る結果、外れやすい削り方になる
その歯医者さんが「歯をできる限り削りたくない」という考えの場合、歯を守ることを優先し、詰め物を保持するという観点から不利になる削り方をする場合もあります。全体を削ってしまえばとれにくい状況を作ることができますが、その分歯へのダメージも強く、長期的観点でデメリットになる場合もあるためです。
歯ブラシが強い場合
全く同じ仮の詰め物をした場合でも、ある人はすぐに外れ、る人は次の来院時まで外れないことがあります。その背景には前述したような「外れやすいつけ方」や「削り方」の問題の他に、「外からの刺激」による場合もあります。例えば、「歯磨きが強く当たった場合」「フロスを用いた場合」「硬いものを食べた場合」「ガムやチョコレートを食べた場合」などです。このような因子によっても、仮の詰め物ははずれる原因となります。
2 仮の詰め物を行う理由
そもそも、なぜ仮の詰め物を行うのか?
その理由は「3つ」あります。1つは「力から守る」、1つは「感染防止」、1つは「噛み合わせの保全」です。
外圧から守る
歯の治療=歯を削ります。そこに詰め物を装着する場合、その歯を相応に歯を削ることが求められます。つまり、治療直後の状態は「薄くなっている部分」と「厚みのある部分」が同居しています。
このような時に仮の詰め物をしない場合、「噛んだ時」に薄い部分と厚い部分の境界点が割れてしまうリスクを高めます。つまり、脆くなっている部分(鋭利な部分)を守るために、仮の詰め物を行います。
2次感染の防止
歯の内部には神経が存在します。治療後の状態は、通常よりも「神経」と「外部」との距離が近くなっているため、当然感染もしやすくなります。詰め物をすることは、感染防止という観点でも重要なのです(神経をすでに失っている歯の場合はその目的はありません)。
噛み合わせの保全
これは奥歯の場合で、かつ被せ物(クラウン治療)の場合に特に該当します。かみ合わせに大きく影響をあたえる奥歯治療の場合、わずかな間でも「空間」ができてしまうと、歯を噛むときのバランスが変わってしまいます。例えば、左下の奥歯に被せ物治療を行う場合、かみ合わせが悪くなると、右ばかりで噛むようになります。その結果、右の歯への負担が過重となり、痛みを生じる原因になることがあります。
*ただし、治療期間は、できるかぎり反対側で噛んだほうが無難ですので、この点は必ずしも見解が変わる所ではあります。
3 仮の詰め物がとれても大丈夫なのか?

Girl with toothache illustration
神経冷たい水や熱い湯の摂取を避け、歯医者さんに行くことが大切
歯の内部に神経がある場合には、とれた瞬間からしみる場合が多いため、なるべく刺激を与えるもの(冷たい水、熱い湯など)を避け、速やかに歯科医院に受診することが大切です。痛みなどがない場合でも、一度歯医者さんに連絡をし、「今日取れました。痛くはないですが、来院したほうがいいですか?」と聞いたほうが安心です。少なくとも仮の詰め物が取れた状況を1か月以上続けてしまうのはリスクになるため、できる限りそれ以前に来院をすることが大切です。
痛みがない場合でも、歯医者さんに連絡することが大切
その歯に神経がない場合には、痛みがでることはありませんが、神経がない歯は脆い状況になっているため、割れやすくなります。したがって、なるべく硬いものを食べることは避け、同様に歯医者さんに電話をし、どう対応すればいいかを聞くことが大切です。
仮の詰め物が取れた場合に注意すべきこと
・神経がある歯の場合は冷たいものや熱いものの摂取を控える
・神経の有無にかかわらず、硬いものの摂取は避ける
・決して放置せず、早めに受診をする
まとめ

今回は仮の詰め物についてお話しました。仮の詰め物がとれることは珍しいことではありません。仮の詰め物が「とれやすい理由」は、「そもそも取れやすいつけ方をしていること」「歯の削り方による場合」「歯磨き圧、食事などの刺激」などが挙げられます。その方の治療内容、治療背景により、対応は変わってくる場合があるため、もしもとれた場合には、治療を受けた歯医者さんに連絡をし、どう対応するべきかを聞くことが大切です。
神保町野本歯科医院 野本幸平
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