その分岐点が、『食を楽しむ力をいかに維持できるか』です。
平均寿命が延びている今の時代、長生きができても、歯が元気な人と元気でない人とでは、QOL(人生の質)に大きな影響がでてしまうものです。国が「国民皆歯科検診の検討」を始めたのは、いわゆる「健康寿命」の延伸には、歯のケアが何より大切だと国も知っているからなのです。病気になる人が少なくなれば、国民医療費も減少するため、財政的にも非常に建設的なのです。
■歯周病対策が、なぜ健康寿命に影響を与えるの?
以前老人ホームにお手伝いに行ったことがあります。そこで見た光景はおばあちゃん、おじいちゃんたちの元気な笑顔でした。その笑顔の時間は、いつも決まって「食事の時間」でした。美味しい食事を食べる喜び、その時に友人と会話をする喜び、口を開けて笑える喜び、どれもこれも、歯の健康があってこそだと再認識できました。
実際、お口に元気がある人は、何歳になっても、姿勢がよく、積極的になりやすいものです。逆に、お口に元気がない人は、いつの間にか姿勢が消極的になりやすいのです。
そして、お口の健康は、あらゆる疾患の予防にも大きく寄与します。例として、「糖尿病」「アルツハイマー型認知症」「心臓病」「脳梗塞」「肺炎」などは、お口のケアがしっかりできている人は、そもそもなりにくいことが分かっています。仮になってしまっても、治療後の予後が非常に良い点も、大きな特徴です。
■「誤嚥」をしたとき、歯周病の人は危険
誤嚥(気管に食事が入る)すると、肺にはお口の中の細菌も一緒に入るので、普段からお口のケアがしっかりできている人は、肺に炎症が起こりづらいのです。逆に口のケアができていない人は、1度の誤嚥でも命に関わる事態に発展してしまいます。被災地では「疲労による免疫力の低下」も避けられないため、誤嚥は本当に命取りになるのです。それは入院時も同じです。
*まとめ
歯周病は局所の問題ではなく、全身にも影響を与えます。そして、お口の健康は幸せの源です。「旅やコミュニケーション」も、最終的には「食事をする」こととセットになっている場合がほとんどです。そう考えると、「生涯、食事を楽しむ力」は、本当に大切なことなんです。