お酒を飲むと歯や歯ぐきがズキズキ痛む原因は?当日・翌日の痛みのメカニズムと対処法

      2025/12/17

神保町野本歯科医院でお酒を飲むと歯や歯ぐきがズキズキ痛む原因は?当日・翌日の痛みのメカニズムと対処法について解説

こんにちは。神保町駅徒歩1分の歯医者、神保町野本歯科医院です。

仕事終わりの一杯や、週末の楽しみにしているお酒。
ところが、「お酒を飲み始めたら急に歯が痛くなった」「翌朝、歯ぐきが腫れて痛い」といった経験はありませんか?

これは単なる気のせいではなく、アルコールが持つ「血行促進作用」や「脱水作用」が、お口の中に潜んでいた小さな問題を一気に表面化させているサインです。
この記事では、お酒を飲むと、当日と翌日に歯や歯ぐきが痛む具体的な原因、そして、痛みを繰り返さないための対策についても解説します。

 

アルコール摂取と「痛み」の関係

アルコールが歯や歯ぐきの痛みを引き起こす共通のメカニズムは、以下の二つです。

急激な血行促進作用(当日〜翌日の痛み)
アルコールを飲むと、体温が上がり、血管が拡張し、血流が急激に良くなります。
歯の内部や歯ぐきにすでに炎症(腫れ)がある場合、血流が増えることで、その炎症部位に送られる血液量が増加します。
これにより、炎症による「内圧」が急激に高まり、神経が圧迫されるため、ズキズキとした痛みが強くなります。

脱水作用と唾液の減少(翌日の痛みの原因)
アルコールには利尿作用があるため、体を脱水状態に導きます。
体が脱水すると、お口の中の潤い(唾液)も減ります。
唾液には、細菌を洗い流す「自浄作用」や、酸を中和する「緩衝作用」がありますが、これが低下することで、細菌が増殖しやすくなり、翌日の歯ぐきの炎症や口内の乾燥による痛みを引き起こします。

 

お酒を飲んだ「当日」に感じる痛みとその原因

飲酒中、特にアルコールの血行促進作用が強く出ているときに痛みが出る場合、それは「隠れた慢性的な炎症」が急性化しているサインです。

 

A. 歯が痛むケース:神経や修復物の問題

飲酒と同時に歯の内部でズキズキとした痛みを感じる場合、歯の内部に圧力がかかっている状態です。

 

進行した歯髄炎(神経の炎症)の露呈
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見た目では分からない、詰め物や被せ物の下で虫歯が進行し、歯の神経が慢性的に炎症を起こしている状態(歯髄炎)がある場合、飲酒による血行促進で炎症部位の血管が急激に拡張します。
これにより歯の内部の圧力(内圧)が高まり、神経が圧迫されるため、脈打つような激しい痛み(拍動痛)として現れます。

 

知覚過敏の悪化
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歯ぐきが下がって露出した歯の根元や、エナメル質が薄くなった部分が、冷たいお酒や、ワインに含まれる酸、アルコール自体の刺激によって敏感に反応します。
飲酒前は平気でも、アルコールの影響で神経が過敏になり、痛みが誘発されやすくなります。

 

不適合な詰め物・被せ物周辺の痛み

欠けていたり、歯との間にわずかな隙間ができていたりする古い詰め物や被せ物がある場合、飲酒時にその隙間からアルコールや冷たい刺激が直接、神経に近い象牙質に達します。
また、アルコールが感覚を鈍らせることで、普段より強く噛んでしまい、不適合な修復物に過度な負荷がかかり、痛みとして現れることもあります。

 

噛み合わせの不調和(早期接触)による過負荷

神保町野本歯科医院でお酒を飲むと歯や歯ぐきがズキズキ痛む原因は?当日・翌日の痛みのメカニズムと対処法について解説

飲酒により、顔や顎の筋肉が緩み、普段とは違う噛み方の癖が出やすくなります。
このとき、特定の歯だけが強く当たりすぎる状態(早期接触)があると、その歯に局所的に過度な負担がかかり、歯の周囲の靭帯(歯根膜)が炎症を起こし、痛みを感じることがあります。

 

B. 歯ぐきが痛むケース:既存の炎症の急性化

飲酒と同時に歯ぐきに痛みや腫れが出た場合、既に存在していた炎症が血行促進により急激に悪化しています。

 

歯周病や歯肉炎の急激な腫れ
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普段から歯周ポケットに細菌が溜まっている状態(歯肉炎・歯周炎)で飲酒すると、アルコールが血管を広げ、歯ぐきに溜まっていた血液や炎症による水分が一気に増加します。
これにより、歯ぐきが急速に腫れ上がり、周囲の神経を圧迫してズキズキとした痛みが誘発されます。

 

親知らず(智歯)周囲炎の急性増悪
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親知らずの周囲の歯ぐきは、汚れが溜まりやすく、常に炎症を起こしやすい状態(智歯周囲炎)にあります。
疲労が溜まっている時や、アルコール摂取によって免疫力が一時的に低下すると、炎症が一気に進行し、周囲の歯ぐきが腫れ、激しい痛みを伴うことがあります。

 

口内炎や潰瘍のアルコール刺激による悪化
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既存の口内炎や口の中の小さな傷(潰瘍)にアルコールが触れると、高濃度の刺激物として作用し、細胞に浸透することで激しいヒリヒリとした痛みを引き起こします。
特にアルコール度数の高いお酒を飲んだときに顕著です。

 

当日の対策(共通)

飲酒の中止
直ちに飲酒を中止し、安静にする。

冷却
痛む側の頬の外側を濡れタオルなどで優しく冷やし、血流の興奮を鎮める。

うがいで刺激を流す
ぬるめの水で軽く口をすすぎ、残留したアルコールや刺激物を洗い流す。

 

ケース別:お酒を飲んだ「翌日」に感じる痛みとその原因

飲酒翌日に感じる痛みは、主に「夜間の行動」や「体質的な変化」によって引き起こされたダメージが原因です。

 

A. 歯ぐきが痛むケース:細菌増殖と刺激の残留

翌日の歯ぐきの痛みは、不十分なケアと細菌の増殖が原因のケースが多くあります。

 

歯周病の急性増悪と歯間乳頭炎
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飲酒による脱水で唾液が減り、自浄作用が低下した状態に加え、飲酒後に歯磨きがおろそかになり、大量のプラーク(細菌)が夜間に増殖します。
特に歯と歯の間の歯ぐき(歯間乳頭)に詰まった繊維質などのおつまみが残っていると、それをエサに細菌が増え、翌朝、歯ぐきが赤く腫れ上がり、鈍い痛みとして現れます。

 

飲酒後の嘔吐・胃酸逆流による刺激
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過度な飲酒による嘔吐や、就寝中の胃酸逆流(GERD)があった場合、強酸性の胃酸が歯ぐきに付着したまま夜を過ごすことになります。
胃酸は歯のエナメル質を溶かすだけでなく、歯ぐきの粘膜を化学的に刺激し、翌日にヒリヒリとした炎症や痛みを引き起こします。

 

接触性のアレルギーや刺激性反応

特定のリキュールやカクテルに含まれる着色料、香料、または特定のアルコール成分に対して、歯ぐきや口腔粘膜がアレルギー様の反応を起こすことがあります。
これにより、翌日、飲食物が触れた部分の歯ぐきが部分的に腫れたり、発赤したりして痛みを感じることがあります。

 

B. 歯が痛むケース:酸と負荷によるダメージの蓄積

翌日の歯の痛みは、夜間の無意識な行為や口腔内の極端な環境変化が原因です。

 

歯ぎしり・食いしばり(ブラキシズム)の疲労痛
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アルコール摂取後の深い睡眠時、無意識の歯ぎしりや食いしばりの癖が非常に強く出てしまい、普段の何倍もの過度な力が歯と顎にかかります。
翌日、この過負荷による歯の周囲の靭帯(歯根膜)や顎関節の炎症が痛みとなり、「噛むと痛い」「歯が浮いたように感じる」といった症状が出ます。

 

脱水による歯の違和感・浮遊感

全身の脱水状態は、歯の周囲の歯槽骨や歯周組織の水分量にも影響を与えます。
この組織の水分が失われることで、歯の周囲のクッション性が低下し、歯が「浮いたような」違和感や、軽い接触でも敏感に感じる痛みとして現れることがあります。

 

酸性飲料による酸蝕ダメージの痛み

ワイン(特に白ワイン)やサワー、カクテルなどの酸性度の高いお酒を多量に飲んだ場合、歯のエナメル質が一時的に軟らかくなります(脱灰)。
飲酒後の不十分なブラッシングや、夜間の脱水が重なると、このダメージが修復されず、翌日、歯が敏感になり、痛みやしみる症状(酸蝕による知覚過敏)が出やすくなります。

 

痛みを繰り返さないための根本的な対策

飲酒時の痛みを根本から解消するには、「飲む前の準備」と「潜んでいる原因の治療」が必要です。

 

飲む前にできる予防策

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口腔内を清掃する
飲酒前にフロスや歯間ブラシを使い、歯と歯の間、歯周ポケットの汚れを可能な限り取り除いておきましょう。
細菌のエサとなるプラークを減らすことで、炎症の悪化を防げます。

水分を補給する
飲酒中も、アルコールと同量程度の水やノンカフェインのお茶を交互に飲み、脱水を防ぎ、唾液の量を保つよう意識しましょう。

おつまみに注意
歯にくっつきやすいもの(キャラメル、ポテトチップスなど)や、歯ぐきを傷つける固いもの(ナッツ、氷など)は避けましょう。

 

歯科医院での根本治療

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痛みが一時的であっても、それは「お口の中に問題がある」という体からのサインです。

隠れた虫歯・歯髄炎の治療
痛みの原因となっている虫歯や、神経の炎症を特定し、適切な治療(虫歯治療、根管治療など)を行うことで、飲酒時の内圧上昇による痛みを解消します。

歯周病の徹底治療
歯周ポケットの深い部分の歯石を徹底的に除去し、歯ぐきの慢性炎症を取り除くことで、急性増悪のリスクをなくします。

知覚過敏の処置
知覚過敏が原因の場合は、薬剤の塗布や、詰め物・コーティングなどの処置を行い、歯の神経への刺激をブロックします。

 

まとめ:飲酒は「お口の健康度」を測るバロメーター

お酒を飲んで歯や歯ぐきが痛む場合、それは「体調が悪い」のではなく、「お口の中に治療が必要な隠れた問題がある」ことを示しています。
お酒を楽しむためにも、まずはご自身のお口の健康をチェックし、潜んでいる炎症の火種を消すことが大切です。
飲酒をきっかけに痛みを感じた方は、放置せず、ぜひ一度、当院にご相談ください。

 



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