歯茎が下がったのは爪楊枝のせい?爪楊枝とフロス、歯間ブラシの違いを解説

      2025/09/16

神保町野本歯科医院で、つまようじのリスクについて解説

「食後、歯に何かが挟まった感じがして、思わず爪楊枝を手に取ってしまう…」
「でも、最近歯茎が下がってきたような気がする…もしかして、爪楊枝のせい?」

このようなお悩みや疑問を抱えていらっしゃる方も、きっと少なくはないでしょう。

爪楊枝は、日本の食文化に古くから根付いており、身近なデンタルケアグッズとして使われてきました。
しかし、その手軽さゆえに、正しい知識がないまま使うと、ご自身の歯や歯茎に大きなダメージを与えてしまう可能性があります。
この記事では、爪楊枝が歯茎に与える影響や、歯間ブラシ、デンタルフロスとの決定的な違いについて、歯科医師の立場から詳しく解説します。

 

爪楊枝、フロス、歯間ブラシ:それぞれの役割と、決定的な違い

神保町野本歯科医院で、つまようじのリスクについて解説

まずは、それぞれの清掃用具が、お口の中でどのような役割を果たしているのかを、明確に理解していきましょう。

 

爪楊枝

神保町野本歯科医院で、つまようじのリスクについて解説

主な役割
歯に詰まった食べかすを物理的に取り除くこと。


特徴と限界
木やプラスチックでできており、先端がとがっています。
歯と歯の間の大きな隙間に詰まった食べかすをかき出すのには有効です。
しかし、これが爪楊枝の唯一のメリットと言っても過言ではありません。
最大の弱点は、「プラーク(歯垢)」を取り除く能力がほとんどないことです。
プラークは細菌の塊であり、歯周病や虫歯の主な原因となります。
爪楊枝の先端は太く、歯の表面に付着したネバネバしたプラークを隅々まで清掃することは極めて困難です。

 

デンタルフロス

神保町野本歯科医院で、つまようじのリスクについて解説

主な役割
歯と歯の間、特に歯と歯が接している部分に付着したプラーク(歯垢)を取り除くこと。


特徴と限界
髪の毛よりも細い複数の繊維を束ねた糸状のデンタルケアグッズで、歯と歯の間に滑り込ませて使います。
歯の接触面は、歯ブラシの毛先が届きにくく、プラークがたまりやすい「虫歯の多発地帯」です。
デンタルフロスは、その狭い隙間でもスムーズに入り込み、歯の側面に沿わせて上下に動かすことで、ブラシでは届かないプラークを効率よくかき出すことができます。
歯と歯の間に隙間がほとんどない方や、奥歯の清掃に特に向いています。

 

歯間ブラシ

神保町野本歯科医院で、つまようじのリスクについて解説

主な役割
歯と歯の間の比較的広い隙間に付着したプラーク(歯垢)を取り除くこと。


特徴と限界
小さなブラシ状のデンタルケアグッズで、様々なサイズがあります。
歯周病の進行によって歯茎が下がり、歯と歯の間に隙間ができてしまった方や、歯並びの乱れがある方、ブリッジやインプラントの清掃に特に向いています。
歯間に合ったサイズを選ぶことが最も重要です。サイズが小さすぎると清掃効果が薄く、大きすぎると歯茎を傷つけ、出血や痛みを伴うことがあります。
無理なく歯間に挿入できる、少し抵抗を感じるくらいのサイズが理想的です。

 

比較表で一目瞭然!爪楊枝とプロの歯間ケアグッズの決定的な違い

項目 爪楊枝 デンタルフロス 歯間ブラシ

主な目的

食べかすの除去

プラークの除去

プラークの除去

清掃能力

△ (食べかすのみ)

◎ (歯間のプラーク)

◎ (広い歯間のプラーク)

適した場所

歯と歯の間の大きな隙間

歯と歯の接触面

歯と歯の間の広い隙間

使用対象

全ての方

全ての方

歯周病の方、歯間に隙間がある方

歯茎へのリスク

低 (正しく使えば)

中 (サイズが合わないと)

推奨度

非推奨

強く推奨

推奨

この比較表からもわかるように、爪楊枝とフロス・歯間ブラシは、そもそも目的が全く違うのです。
爪楊枝は食べかすを取る道具であり、虫歯や歯周病の原因となるプラークを取り除くための道具ではありません。

 

なぜ爪楊枝は歯茎が下がる原因になるのか?その危険なメカニズム

「爪楊枝で歯茎が下がる」という話は、決して都市伝説ではありません。
爪楊枝の先端は鋭く、歯と歯の間に無理に差し込むことで、歯茎に直接的なダメージを与えてしまいます。

 

爪楊枝が歯茎に与えるダメージ

歯茎の傷つけと炎症
爪楊枝を歯間に差し込む際、歯茎に何度も傷をつけてしまうと、そこから細菌が侵入し、炎症を引き起こします。
炎症が慢性的に続くと、歯茎は腫れ、最終的には歯茎の組織が破壊されて「歯茎が下がる」という現象が起きてしまいます。

歯周ポケットの拡大
歯周病は、歯と歯茎の間の溝(歯周ポケット)にプラークがたまり、炎症が起きることで進行します。
爪楊枝で無理に歯茎を押すと、この歯周ポケットを深くしてしまい、さらに細菌が侵入しやすい環境を作ってしまいます。

歯と歯の間の隙間を広げる
爪楊枝で繰り返し歯間を突くと、歯と歯の間が物理的に広がり、隙間ができてしまいます。
一度広がった隙間は自然には元に戻らず、さらに食べかすが詰まりやすくなり、爪楊枝を使うという悪循環に陥ってしまいます。

このように、爪楊枝は「食べかすを取る」という手軽さの裏で、歯茎に慢性的なダメージを与え、結果的に歯周病を悪化させる原因になりかねません。

 

正しい歯間ケア技術は、あなたの歯を一生守る投資です

神保町野本歯科医院で、つまようじのリスクについて解説

歯ブラシだけでは、歯と歯の間のプラークを6割程度しか除去できないと言われています。
つまり、どんなに丁寧に歯磨きをしても、残り4割のプラークはそのまま残ってしまうのです。

この残ったプラークが、虫歯や歯周病の温床となります。
この残った4割のプラークを取り除くのが、デンタルフロスや歯間ブラシの役割です。

 

デンタルフロスと歯間ブラシの選び方

デンタルフロス
歯と歯の間に隙間がほとんどない方、特に若い方にお勧めです。
使い慣れていない方には、ホルダー付きのフロスがおすすめです。

歯間ブラシ
歯周病などで歯間に隙間ができてしまった方、矯正中の方、ブリッジやインプラントをお使いの方にお勧めです。
ご自身の歯間に合ったサイズを選ぶことが最も重要です。
痛みを感じる、無理なく入らない、スカスカする、といった場合は、サイズが合っていない可能性があります。
ご自身に最適なサイズは、歯科医院で相談し、指導を受けるのが一番確実です。

 

まとめ:今日から始める、歯茎に優しい正しい歯間ケア

歯と歯の間の食べかすやプラークを取り除くことは、虫歯や歯周病を予防する上で欠かせない習慣です。
爪楊枝は、あくまで応急処置として使い、日常的な歯間清掃には使用しないでください。
デンタルフロスや歯間ブラシを使い、歯ブラシでは届かない歯と歯の間のプラークをしっかりと取り除きましょう。

もし、ご自身の歯間ブラシのサイズがわからない、正しいフロスの使い方がわからない、といったお悩みがありましたら、どうぞお気軽に当院にご相談ください。
神保町野本歯科医院では、患者さま一人ひとりの歯の状態に合わせた正しいデンタルケアの方法を丁寧に指導しています。

「歯茎が下がってしまった」
「歯周病を治したい」

といったお悩みにも、最適な治療法をご提案します。
まずはお気軽にご相談にいらしてください。

 



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