野本歯科医院の野本幸平です。このページでは、当院の診療スタンス、学習環境、その他についてお伝えしています。
■インスリンを阻害することにつながる歯周病
日本糖尿病学会によると、糖尿病は『インスリンの作用不足によって高血糖をきたし、長期化することで、動脈硬化をも進行させる病気』とされています。私達は日常生活に必要な「エネルギーの源」を『食事』によって摂取します。摂取されたエネルギー源(ブドウ糖など)は「腸」で吸収され「血液中」に入ります。したがって、食事で摂取したエネルギー源は速やかに細胞に取り込ませてあげることが大事になります。
この時に働くホルモンが、『インスリン』です。インスリンは膵臓のβ(ベータ)細胞と呼ばれる細胞から、血糖値が上昇すると分泌され、血液中のブドウ糖を細胞に取り込ませる指令を出します。こうして、ブドウ糖ははじめて細胞に取り込まれエネルギーとして利用され、血糖値が低下します。
歯周病は『糖尿病の6番目の合併症』であると認識されており、糖尿病があると歯周病の進行が著しく促進されます。それはなぜか ?
■歯周病菌は「強力な毒素」を出す
歯周病を起こす細菌の多くは、『内毒素』と呼ばれる毒素を産生します。この毒素は非常に強力であるため、歯周病が重症化して毒素が生体に入り込むようになると、我々の体はこれを排除して何とか体を守ろうと『特定の物質』を分泌して戦います。実は、この物質こそが、前述した「インスリン」の効きを障害する物質(悪玉物質)なのです。
これが歯周病を予防することの非常に重要な理由の1つです。さらに、糖尿病になると傷の治りも悪くなるので、大掛かりな歯科治療をしなければならなくなる前に、歯周病も予防しておくことが重要です。ただ、歯周病は痛みを伴わないため、歯周病の程度がつかめません(これが歯周病の怖さです)。そのため、定期的な歯科受診によって、歯周病の重症度をチェックすることが推奨されています。