今から30年以上前の歯科医師国家試験を受けた人、15年前に受けた人、ここ最近受けた人とでは、学ぶ量も問われるタイプも全く異なります。もちろん、「必修」はいまでも存在しますが、明らかにその質は高まっています。私も一応毎年解いています(個人的な趣味です)が、難しいですね。内容がどんどん医師国家試験のような領域に入っています。それは、歯が全身に大きく寄与することが、多くの研究から明らかになってきているためです。
そこでここでは、全身にも関わる内容を見ていきます。
胃食道逆流症(GERD)は今後の必修のテーマになる可能性があるため、しっかりと復習しましょう。
▢胃食道逆流症(GERD)のポイント
・逆流性食道炎により引き起こされる食道粘膜障害あるいはそれに類似する症状
➜食道内に逆流する原因としては「胃酸」と「ペプシン(タンパク質分解酵素)」
・有病率は10%
・症状は「胸やけ」や「呑酸」
・口腔内症状:口腔内への逆流(または嘔吐)が繰り返されると、「酸蝕症」が引き起こされる。
➜好発部位は「上顎前歯部口蓋側」が多いが、酸蝕症の進行にともない、大臼歯咬合面、またすべての頬側面で実質欠損を生じ、極度な状況下では歯冠部が崩壊するなど、重症化する。
正解はAとなります。なお、この分野は歯科医師も大きく関係する範囲のため、胃食道逆流症(食道への逆流)の原因についても把握しておく必要があります。
▢原因
・腹部の締め付け
・重い物を持つ
・前かがみの姿勢
・右側臥位で(右を下にして)寝る
・肥満
・喫煙 など
また、歯科医師が患者にアドバイスるする際に「食事面で避けたほうがよいこと」は、
・食べ過ぎ
・就寝前の食事
・高脂肪食、甘いものなどの高浸透圧食
・アルコール、コーヒー、炭酸飲料
・みかんなどの柑橘類 など
▢対応法
・プロトンポンプ阻害薬が第一選択の治療法
この問題の選択肢ではとりわけ「レニン」「トリプシン」「クレアチニン」が大切です。
◯尿素
哺乳類の尿中に含まれる窒素化合物。体内でタンパク質が分解して生成される。
◯葉酸
・「ビタミンB12」と協力して血液をつくる働きがある。
・欠乏症ではビタミンB12不足の際と同様に、「巨赤芽球性貧血」(悪性貧血)が生じる
◯レニン(腎臓で分泌される)
レニンときたら「レニン-アンジオテンシン・アルドステロン系」(血圧上昇の流れ)を把握する必要があります。
・レニンによって、血中のアンジオテンシノーゲンからアンジオテンシンIという物質がつくられる。
・アンジオテンシンIはアンジオテンシン変換酵素(ACE)によりアンジオテンシンIIに変換される。
・アンジオテンシンIIは副腎皮質からアルドステロンを分泌させる。
・アルドステロンはNaを体内に溜めるため、これにより循環血液量が増加して末梢血管抵抗が増加する。
・この一連の流れを「レニン-アンジオテンシン‐アルドステロン系」といい、血圧上昇後にはレニンの分泌は抑制される。
◯トリプシン
膵臓(すい臓)は胃の後ろにある長さ15センチぐらいの臓器で、消化液を分泌する外分泌機能と、ホルモンを分泌する内分泌機能をもっています。
★消化酵素として「膵液」を分泌する。
膵液とは?
・糖質を分解するアミラーゼ
・たんぱく質を分解するトリプシン
・脂肪を分解するリパーゼ
★膵臓のランゲルハンス島細胞からは、糖の代謝に必要なインスリン、グルカゴン、ソマトスタチンなどのホルモンが分泌されます。
◯クレアチニン
・筋肉で作られる老廃物の一つで、そのほとんどが腎臓の糸球体から排泄される
・血中のクレアチニンの増加は、糸球体の濾過機能が低下していることを意味する
★高齢に伴い腎臓機能も低下するため、「クレアチニン」が増加すると考えられていますが、上記にもあるように「筋肉」で作られる老廃物であるため、「筋肉量」が多い人は高めに、筋肉が少ない人は低めになります。そのため、高齢者という理由で、クレアチニンが増加するとは、必ずしも限りません。