虫歯の治療後に歯が痛いのは、治療の失敗?治療後に悪化する痛みの原因と対処法を徹底解説
2025/08/06

こんにちは、神保町の歯医者、神保町野本歯科医院です。
虫歯の治療を受けて「これで痛みから解放される!」とホッと一安心したのも束の間、数日経っても痛みが引かないどころか、むしろ治療前よりもズキズキと痛みが増している…そんな経験はありませんか?
「せっかく治療したのに、どうして余計に痛くなるんだろう?」
「もしかして、治療が失敗したのかな…?」
「この痛み、いつまで続くんだろう…不安で仕方ない」
当院にも、虫歯治療後の歯の痛みについてご相談にいらっしゃる患者様が数多くいらっしゃいます。
このコラムでは、虫歯治療後に歯が痛む一般的な原因から、ご自宅でできる対処法、そして当院が提供する専門的な治療まで、詳細にご説明していきます。
この情報が、あなたの不安を少しでも和らげ、適切な対処へと繋がる一助となれば幸いです。
虫歯治療後に歯が痛む主な原因
虫歯治療後に歯が痛む原因は一つではありません。
いくつかの可能性が考えられますが、多くの場合、一時的なものか、あるいは治療に関連する反応であることがほとんどです。
しかし、中には放置すると悪化する可能性のあるものも含まれますので、ご自身の症状と照らし合わせて確認してみましょう。
治療による刺激・炎症(術後性疼痛)

これは最も一般的な原因であり、多くの患者様が経験する一時的な痛みです。
このタイプの痛みは、特に冷たいものや熱いものがしみたり、噛んだ時に違和感があったりすることが特徴です。
通常は時間とともに軽減していくため、過度な心配はいりません。
歯を削る際の刺激
虫歯を除去するために歯を削る際、歯の内部にある神経(歯髄)は少なからず刺激を受けます。
この刺激によって一時的に神経が過敏になり、術後に痛みを感じることがあります。
特に、虫歯が深かったり、広範囲にわたる治療だったりした場合は、この痛みが強くなる傾向があります。
薬剤による刺激
虫歯を除去した後、歯の神経を保護するための薬剤や、詰め物・被せ物を接着するためのセメントなどが使用されます。
これらの薬剤が一時的に神経を刺激し、痛みやしみる症状を引き起こすことがあります。
炎症反応
治療によって歯の組織が物理的に刺激されることで、一時的な炎症反応が起こることがあります。
これは、体がお口の中の環境の変化に適応しようとする自然な反応であり、通常は数日~数週間で徐々に治まっていくことが多いです。
麻酔による影響
麻酔注射を行った部位が、治療後に鈍い痛みや違和感を覚えることがあります。
これは麻酔薬の影響や、注射の針による組織への刺激によるもので、通常は数日で消失します。
噛み合わせの不具合

詰め物や被せ物(銀歯やセラミックなど)を入れた後、その高さがわずかに合っていない(高い)場合、噛み合わせのバランスが崩れて痛みが生じることがあります。
このタイプの痛みは、特定の歯で噛んだ時に強く感じたり、食事の後に痛みが強くなったりすることが特徴です。
また、治療前にはなかったような違和感や、歯ぎしり・食いしばりの際に強く感じられることもあります。
過剰な負荷
詰め物や被せ物が少しでも高いと、食事の際などにその部分にだけ過剰な力がかかり、歯や顎に負担がかかります。
これにより、その歯自体が痛むだけでなく、周囲の歯や顎関節にまで影響が及ぶこともあります。
歯周組織への影響
噛み合わせの不具合が続くと、歯を支える歯周組織にも負担がかかり、歯茎の痛みや腫れ、さらには歯が浮いたような感覚を覚えることもあります。
歯髄炎(神経の炎症)の進行

虫歯が非常に深く、歯の神経(歯髄)にまで細菌が到達していた、あるいは到達寸前の状態だった場合、治療後に歯髄炎が進行してしまうことがあります。
このタイプの痛みは、通常の術後性疼痛とは異なり、痛みが悪化したり、持続時間が長かったりするのが特徴です。
特に、夜間に痛みで目が覚めるような場合は、歯髄炎の可能性が高いと考えられます。
不可逆性歯髄炎
虫歯菌の刺激が長期間にわたって神経に加わっていた場合、治療で細菌を取り除いたとしても、神経の炎症が完全に治まらず、不可逆性歯髄炎(神経が回復できない状態の炎症)に移行することがあります。
この場合、ズキズキとした持続的な痛みや、何もしなくても脈打つような痛み、夜間に痛みが強くなる、冷たいものが激しくしみて長く痛みが続く、温かいものがしみるなどの症状が現れます。
歯髄壊死
炎症がさらに進行すると、神経が壊死(死んでしまうこと)に至り、一時的に痛みが引くことがあります。
しかし、壊死した神経が腐敗すると、歯の根の先に膿がたまり、再び激しい痛みや腫れを引き起こすことがあります(根尖性歯周炎)。
根尖性歯周炎(歯の根の先の炎症)

すでに神経が死んでいる歯(失活歯)の虫歯治療や、以前に根管治療を受けた歯の再治療後に起こることがあります。
歯の根の先に感染が起こり、膿が溜まることで炎症が生じます。
細菌が歯の根の管(根管)を通じて根の先まで到達し、顎の骨に炎症を引き起こします。
これは、治療中に取り切れなかった細菌が残っていたり、新たな細菌感染が起こったりすることで生じます。
噛んだ時の痛み、歯が浮いたような感覚、歯茎の腫れ、場合によっては顔の腫れや発熱を伴うこともあります。
持続的な鈍い痛みを感じることが多いです。
クラック(ひび割れ)や破折

治療した歯、あるいはその周辺の歯に、目に見えない小さなひび割れ(クラック)や、大きな破折(割れ)が生じている場合があります。
これは、虫歯が深かったり、歯の構造が弱くなっていたりする際に、治療時の圧力や日常的な噛む力によって生じることがあります。
特定の方向に噛んだ時だけ痛みを感じる、冷たいものや熱いものが強くしみる、何もしなくてもズキズキとした痛みが続く、などの症状が現れます。
銀歯・セラミックの熱伝導性

特に金属(銀歯など)は熱伝導率が高いため、治療直後は冷たいものや熱いものがしみやすく感じることがあります。
これは、金属が温度変化をダイレクトに歯の神経に伝えやすいためです。
神経が徐々に慣れてくると、この症状は治まっていくことが多いです。
セラミックも自然な歯の色に近いですが、熱伝導性の問題は多少なりとも生じることがあります。
知覚過敏
虫歯治療によって歯の表面が削られたり、歯茎が下がって歯の根元が露出したりすることで、冷たいものや歯ブラシの刺激で一時的に知覚過敏のような症状が現れることがあります。 これは、歯の表面の保護層が失われたことで、外部刺激が神経に伝わりやすくなるためです。
他の歯の問題
まれに、治療した歯とは別の歯に問題があり、その痛みが治療した歯の痛みとして感じられる「関連痛」の場合もあります。
例えば、隣の歯が虫歯だったり、親知らずが原因だったりすることが考えられます。
「この痛み、大丈夫?」緊急性の高い痛みと見分け方
虫歯治療後の痛みには、一時的なものと、すぐに歯科医院を受診すべき緊急性の高いものがあります。
ご自身の痛みがどちらに当てはまるのか、以下のポイントを参考に判断してみてください。
症状の種類 | 期間・特徴 | 考えられる原因(一例) | 対応 |
---|---|---|---|
一時的な痛み |
数日~数週間で徐々に軽減。冷たいものが一瞬しみる程度。 |
治療による刺激・炎症(術後性疼痛)、軽度の知覚過敏 |
様子を見る、刺激物を避ける、市販薬で対処 |
持続的な痛み |
ズキズキと脈打つような痛みが続く、何もしなくても痛い |
歯髄炎、根尖性歯周炎、ひび割れ |
すぐに歯科医院を受診 |
噛んだ時の痛み |
特定の場所で噛むと痛い、歯が浮いた感じがする |
噛み合わせ不良、歯髄炎、根尖性歯周炎、ひび割れ |
すぐに歯科医院を受診 |
歯茎の腫れ・痛み |
治療した歯の周りの歯茎が腫れている、触ると痛い |
根尖性歯周炎、歯周病、膿瘍 |
すぐに歯科医院を受診 |
顔の腫れ・発熱 |
歯の痛みに加えて顔が腫れている、熱がある |
重度の感染症 |
直ちに歯科医院を受診(救急対応も検討) |
冷たいものだけでなく、温かいものがしみる、痛みが強くなる |
冷温両方で痛み、特に温かいもので悪化 |
不可逆性歯髄炎 |
すぐに歯科医院を受診 |
特に、以下の症状が見られる場合は、迷わず当院までご連絡ください。
痛みが悪化している、または全く改善しない
ズキズキと脈打つような強い痛みが続く
何もしなくても痛む、夜間に痛みで眠れない
治療した歯の周囲の歯茎が腫れている、膿が出ている
顔が腫れている、熱がある
噛むと非常に痛い、特定の歯だけが強く当たる感じがする
冷たいものだけでなく、温かいものがしみたり、痛みが増したりする
虫歯治療後の歯の痛み、どうすればいい?ご自宅での対処法
歯科医院を受診するまでの間、ご自宅でできる一時的な痛みの対処法をご紹介します。
ただし、これらはあくまで痛みを和らげるためのものであり、根本的な治療にはなりません。
痛みが続く場合は必ず歯科医院を受診してください。
患部を冷やす
頬の外側から、冷たいタオルや氷嚢(アイスパックをタオルで包むなど)を当てて冷やすと、炎症が抑えられ、痛みが和らぐことがあります。
ただし、冷やしすぎると血行が悪くなり、かえって痛みを悪化させることもあるので、様子を見ながら、冷やしすぎないように注意しましょう。
市販の痛み止めを服用する
薬局で手に入る鎮痛剤(アセトアミノフェン、イブプロフェンなど)を服用すると、一時的に痛みを抑えることができます。
用法・用量を守って服用してください。
もし、普段から服用している薬がある場合は、薬剤師や医師に相談してから使用することをおすすめします。
刺激物を避ける
熱いもの、冷たいもの、辛いもの、甘いもの、酸っぱいものなど、刺激の強い飲食物は痛みを悪化させる原因となります。
治療後の歯が敏感になっている間は、できるだけ刺激の少ないものを摂るようにしましょう。
治療した歯で噛まないようにする
痛みがある間は、治療した歯で固いものを噛んだり、過度な力をかけたりすることは避けましょう。
反対側の歯を使って食事をするなど、患部への負担を軽減するように心がけてください。
口の中を清潔に保つ
食べカスなどが残っていると、細菌が繁殖し、炎症を悪化させる原因となります。
食後は、優しく歯磨きをしたり、うがい薬でゆすいだりして、口の中を清潔に保ちましょう。
ただし、患部を強く刺激しないように注意してください。
ストレスを軽減する
ストレスは、痛みを増強させることがあります。
十分な睡眠をとり、リラックスできる時間を作るなど、ストレスを軽減することも大切です。
よくあるご質問(FAQ)
しかし、まれに神経の炎症が進んでいる場合や、噛み合わせの不具合、根の先の感染などが原因であることもあります。
ご自身で判断せずに、痛みが続く場合は必ず歯科医院を受診してください。
痛み止めは、痛みを「感じなくさせる」だけで、痛みの原因そのものを解決するものではありません。
特に、痛みが悪化したり、持続したりする場合は、必ず歯科医院で診てもらい、原因を特定して適切な治療を受ける必要があります。
もし、1週間以上痛みが続いたり、痛みが悪化していると感じたり、激しい痛みや腫れ、発熱などの症状がある場合は、すぐに歯科医院を受診してください。
虫歯治療によって歯の表面が削られたり、神経が刺激されたりすることで、一時的に歯が敏感になることがあります。
通常は数週間で改善することが多いですが、痛みが強い場合や、温かいものもしみる場合は、歯科医院にご相談ください。
主な原因としては、歯の根の先に細菌が感染して炎症を起こす根尖性歯周炎や、歯のひび割れ(クラック)、あるいは他の歯の問題が関連痛として感じられている可能性などが考えられます。
神経がないから痛まない、ということはありませんので、すぐに歯科医院を受診して原因を特定することが重要です。
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