唇が歯にくっつく原因と対策:ドライマウス?口呼吸?それとも歯並び?
2025/12/05

こんにちは。神保町駅徒歩1分の歯医者、神保町野本歯科医院です。
「朝起きると、唇がネバネバして歯にくっついている…」
「日中も口の中がパサパサして話しにくい…」
「笑った時に唇が歯にくっつく」
このような「唇が歯にくっつく不快な症状」は、多くの方が抱える悩みです。
単なる乾燥だと思われがちですが、実はその裏には虫歯や歯周病のリスクを劇的に高める重大な原因が隠れています。
特に「笑ったときに上唇が上の歯茎にくっつく」という現象は、特定の筋肉の動きや乾燥が関係しています。
この記事では、唇が歯にくっつく主な原因を5つに分類し、そのメカニズムと、ご自宅でできる簡単な予防法、そして歯科医院で受けられる専門的な治療法を解説します。
唇が歯にくっつく5つの原因
唇の内側や頬の粘膜が歯に貼りつくのは、主に唾液の量が減る「乾燥(ドライマウス)」と、唾液の質が「ネバネバ」に変わることで起こります。
この乾燥を引き起こす原因は一つではありません。
1.口呼吸の習慣と筋力の低下(口が閉じない問題)

唇が歯にくっつく最大の原因は、口が開きっぱなしになることです。
鼻ではなく口呼吸の習慣があると、常に口の中を外の空気が通り抜け、唾液が蒸発し続けます。
口周りの筋肉(口輪筋)の力が弱いと、無意識のうちに口が閉じない状態となるため乾燥が加速します。
睡眠中は唾液の分泌が極端に減るため、口呼吸をしていると朝起きると口が渇く状態になり、唇が歯に張り付いてしまうのです。
この原因のポイント
口呼吸による唾液の蒸発が根本原因。
口輪筋の筋力不足で口が閉じない(口唇閉鎖不全)状態になっている。
2.唾液の量が減る・質が変わる(ドライマウスの進行)

健康のバロメーターである唾液の量と質に問題が生じているケースです。
ストレス、加齢、病気、または特定の薬の副作用で唾液が少ない状態になると(ドライマウス)、口腔内の潤滑油がなくなり粘膜がパサつきます。
また、強いストレスや緊張が続くと、サラサラな唾液ではなく、粘性の高いネバネバ唾液が多く分泌され、これが接着剤のように作用して、粘膜と歯を強力にくっつけてしまいます。
この原因のポイント
ドライマウスは唾液量の低下が原因
ネバネバ唾液は質の変化が原因
ストレスや薬の副作用、加齢が主な引き金となる。
3. 歯並び(出っ歯など)や構造的な異常

機能的な問題だけでなく、顎の構造や歯並び(不正咬合)が原因の場合もあります。
上の前歯が前に大きく突き出ている(出っ歯、上顎前突)場合、唇が歯を覆い隠すことが物理的に困難になり、口が閉じない原因となります。
この物理的なバリアが乾燥を加速させます。
また、上唇と歯ぐきをつなぐ筋(上唇小帯)が異常に低い位置にある場合も、上唇の動きが制限され、口を閉じにくくします。
この原因のポイント
歯並び(出っ歯)が唇を閉じるのを物理的に邪魔している。
上唇小帯の付着位置異常も、口が閉じない原因となる。
4.笑った時にくっつく・張り付く現象(上唇の過度な動き)

特に笑うとくっつく、大きく口を開いた際に唇が歯や歯ぐきにくっつく場合は、乾燥と筋肉の過緊張が組み合わさっています。
笑う際に、上唇を引き上げる筋肉の動きが過剰だと、乾燥した唇の裏側と上の歯の表面(または歯ぐき)が、摩擦や残った粘性の唾液によって一時的に貼り付いてしまいます。
この現象は、唇の内側が歯茎に強く密着するガミースマイルの傾向がある方や、乾燥が強い方に起こりやすいです。
上唇の動きを意識した対策が重要になります。
この原因のポイント
笑うとくっつく現象は、乾燥と上唇の動きの過剰さが原因。
ガミースマイル傾向の方に起こりやすい。
5.常用薬や全身の病気による影響

治療中の病気や服用中の薬の副作用が原因のことも多くあります。
高血圧の薬、うつ病の薬、アレルギー薬など、多くの薬には唾液の分泌を抑える作用があり、深刻なドライマウスを引き起こすことがあります。
また、糖尿病や腎疾患などの全身疾患も、脱水傾向を通じて、唾液の分泌量低下を引き起こします。
この原因のポイント
薬の副作用はドライマウスの主要な原因の一つ。
全身疾患の治療中は、口腔内が乾燥しやすい。
唇が歯にくっつくことの危険性【虫歯・歯周病リスク増大】
唇が歯にくっつくほどの乾燥状態を放置することは危険です。
虫歯リスクの急増
唾液は虫歯菌が作った酸を中和し、歯を修復する(再石灰化)作用を持っています。
唾液が減ると、この防御機能が働かず、虫歯が急速に進行します。
歯周病の悪化と口臭
唾液には抗菌作用もありますが、乾燥すると細菌が爆発的に増殖し、歯ぐきの炎症(歯周病)が悪化します。
また、増えた細菌が口臭の原因にもなります。
誤嚥性肺炎のリスク
特に高齢者や疲れている方は、口腔内の細菌を多く含んだ唾液を誤嚥しやすくなり、肺炎のリスクが高まります。
ご自宅でできる対策と歯科医院での専門的アプローチ
原因を特定し、適切な治療を行うことで、不快な「くっつき」症状は改善できます。
ご自宅でできるセルフケア(応急処置と予防)

こまめな水分補給と保湿
水やお茶を一口ずつ、頻繁に飲み、口腔内を潤しましょう。
就寝前は、唇や口の周りにワセリンなどを塗って、水分蒸発を防ぐ保湿ケアが効果的です。
唾液腺マッサージ
顎の下や耳の下にある唾液腺を、優しくマッサージして刺激し、唾液の分泌を促しましょう。
食事前にやると特に効果的です。
鼻呼吸トレーニング
口周りの筋肉を鍛える「あいうべ体操」を習慣にし、無意識に口を閉じ、鼻で呼吸する習慣を身につけましょう。
唇・頬のマッサージ
笑った時にくっつく症状がある方は、唇の周りの筋肉を優しくほぐすマッサージを取り入れ、緊張を和らげましょう。
歯科医院での専門的な対処法

当院では、患者さまの症状を詳しく検査し、根本原因に合わせた治療とサポートを提供します。
口腔内の乾燥への対症療法
乾燥が確認された場合、必要に応じて保湿ジェルなどを処方し、使用方法を指導します。
一時的に口腔内を潤滑させ、貼りつきを緩和させます。
構造的な問題の改善
歯並び(出っ歯)が原因で口が閉じられない場合は、歯列矯正治療をご提案し、前歯を正しい位置に動かすことで、自然に口が閉じられる状態を目指します。
当院では、矯正専門の歯科医師が4名在籍し、日本矯正歯科学会認定医も在籍する飯田橋の提携医院「サクラパーク野本歯科」と連携しながら、子どもから大人まで一人ひとりに最適な矯正プランをご提案しています。
上唇小帯の異常がある場合は、小帯切除術を行い、唇の動きを改善します。
医科連携とリスク管理
薬が原因の場合は処方医と連携を取り、乾燥を緩和できる薬剤への変更を相談します。
また、乾燥で高まった虫歯・歯周病リスクに対し、高濃度のフッ素塗布や徹底的なクリーニングを実施します。
結論:「くっつく」原因を知り、口腔環境を守りましょう

唇が歯にくっつく不快な症状は、生活習慣、筋肉、そして歯並びまで、様々な要因が絡み合った結果です。
単なる「不快感」として放置せず、その裏にある虫歯・歯周病リスクに目を向けることが大切です。
「口が渇く」「ネバネバする」といったサインを見逃さず、原因を特定して適切な対策を始めましょう。
不安な点があれば、お気軽にご相談ください。
当院が、健康的な口腔環境を取り戻すお手伝いをいたします。
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