歯を抜歯した後の治療法。歯が1本抜けたときの対応。
歯を抜歯した後の治療法。歯が1本抜けたときの対応。
1 歯が1本抜けると何が起こるか?
永久歯が抜ける理由は様々ですが、主に「歯周病」「虫歯」「外的な力」によります。
歯というのは、28本が生体に合った配列をしているため、仮に1本でも抜けてしまうと、その配列はくるってしまいます。その結果、様々な問題が生じます。
その抜けた1本がどの部位に位置しているかにより、問題は変わってきます。
たとえばそれが「8番」(智歯、親知らず)の場合、抜けた後の弊害はほとんどありません。
一方で、それが6番(第1大臼歯)の場合、「噛む」という行為に不便が生じるようになります。
6番目の歯(第1大臼歯)が抜けた場合
その1本を放置することで、両隣の歯や向き合う歯がその「欠損した部分」に動いてくるため、結果として歯の配列が変化し、かみ合わせの問題が起きてしまいます。
かみ合わせに問題が起こると、噛んだ時の痛みの他、顎関節・咬筋(噛むための筋)にも為害な作用が加わり、痛みを起すリスクが高まります。
さらに、左右の噛み合わせのバランスが崩れることで、反対側の奥歯にも負担が強まり、結果として歯全体に支障がでるようになります。
さらに、噛み合わせのバランスが崩れることで、頭痛や肩こりなど、全身への悪影響がでることもわかっています。
前歯が抜け場合
前歯の場合には、見た目の問題は大きいものの、噛み合わせには大きくは関わってこないため、痛みや頭痛の原因にはなりにくい傾向にあります。
一方で、前歯は発音に大きく寄与するため、少しでも位置がずれるだけでも発音のしづらさが顕在化します。
そのため、抜けてしまった場合には、これまでとは異なる違和感を覚えることが多い傾向にあります。
そして、その1本が抜けたことにより、これまでは定位置にあったベロが「その隙間」に入るようになり、いわゆる「舌突出癖」という習癖の問題が起こりやすくなります。
2 歯を抜歯した後の治療法3選
歯が抜けた時には、できる限り早めに適切な処置を受けることが重要です。
今回は代表的な3つの治療法を説明します。
2-1 ブリッジ治療
*ブリッジ治療の詳細はこちらでも詳しく説明しています。
ブリッジ治療というのは、欠損した歯の両隣の歯を支えとして、欠損部位を補う治療です。
具体的には、後述するインプラント治療が「人工的な根っこ」を骨に埋入するのに対し、ブリッジ治療では、
根っこは埋入せず、人工的な歯(見える部分)のみを回復させる治療となります。
「両隣の歯に接着剤でつければいいのでは?」
稀にこのような質問をいただくことがありますが、歯の噛んだ時の力は想像以上に強いものがあり、接着剤で固定した場合は、数日持つのが限界です(すぐにとれてしまいます)。
したがって、治療においては、「両隣の歯(2本)」を含んだ「3本分を連結」したものを装着します。
つまり、両隣の歯にも被せ物(人工的な歯)を装着するため、一定量削る必要があります。
この治療のデメリット
両隣の歯を一定量削る必要がある点です。ただし、もともとそれらの歯に何らかの治療をしている場合においては、それは大きなデメリットになりません。
この治療のメリット
インプラント治療のような、「外科的な対応」をする必要がないこと。そして、入れ歯とは異なり、固定されている治療(取り外し式ではない治療)のため、硬いものでもしっかりと噛むことができます。
2-2 インプラント治療
インプラント治療は、欠損した歯のスペースの骨に、「人工的な根っこ」を埋入し、骨と人工物が固定された段階で、人工的な歯を装着する治療です。つまり、ブリッジ治療では頭の部分(人工的な歯:見える部分)のみをセットする一方で、インプラント治療では、それに加えて『人工的な根っこ』を骨に埋入します。
したがって、この治療の最大の特質は、両隣の歯に支えを求める必要がないことです。これはイコールで、「両隣の歯を削る必要がない」というメリットになります。
その分、骨に負担を求めるため、人工的な根っこを埋入した後に、骨としっかりと結合するまでに「一定の時間」が必要になります。これは一般に数か月~半年ほどかかります。
この治療のデメリット
一定の期間が必要です。また、一定の費用も必要になります(目安:1本あたり50万円~)。また、全身疾患を抱えている方の場合、身体への負担も考慮し、治療ができない場合があります。
この治療のメリット
最大の利点は、しっかりと噛むことができる点です。歯周病が進行している方の場合には、歯と同様にインプラントも抜けますが、正しいケアをしている場合には、普通の歯と同じように維持させることができます。その他、周囲の歯を削る必要がありません。
2-3 義歯(入れ歯)治療
義歯(入れ歯)治療は、欠損した歯のスペースを、残っている複数の歯を支えにして補う治療です。
前述した2つの治療との最大の違いは、「取り外し式」という点です。
したがって、口の内部での違和感や、慣れるまでの時間が必要です。
また、毎日取り外し、綺麗に清掃することが求められます。
義歯治療では、ブリッジ治療ほど両隣の歯を削る必要はないですが、その分支えとなるものの力が強くありません。
したがって、がたつきによる定期的な調整が必要になることや、前述の固定式タイプの2つの治療と比べると、硬いものを食べることが困難になります。
この治療のデメリット
がたつき、粘膜の痛みが生じやすく、定期的な調整が必要になることがあります。また、個人差はあるものの、硬いものを食べることが難しい点、口の内部の違和感、審美的な問題があります(ただし、自費診療で行う入れ歯の場合には、審美的な問題や違和感の軽減ができます)。
この治療のメリット
取り外し式のため、清掃をくまなく行うことができる。周囲の歯への負担はあるものの、大きく削る必要はない。比較的低侵襲で、欠損部分を補うことができる。
3 まとめ
歯が抜けた後は、できる限り早い段階で対応をすることで、様々な問題(噛み合わせの変化、痛み、頭痛、発音問題など)を防止することができます。それぞれの治療には一長一短がありますが、主治医と話し合い、最も効果位のない対応を一緒に検討していくことが大切だと思います。
神保町野本歯科医院 野本幸平
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