歯ぐきが「ぶよぶよ」する!一部だけ腫れる原因は?歯周病以外の意外な理由と対処法
2025/12/03

神保町駅徒歩1分の歯医者、神保町野本歯科医院です。
鏡を見て、歯ぐきの一部が赤く腫れていたり、触ると「ぶよぶよ」と柔らかく膨らんでいたりするのを発見すると、不安になりますよね。
多くの場合、「歯ぐきの腫れ=歯周病」と思われがちですが、実は歯ぐきの一部が局所的にぶよぶよする原因は、歯周病以外にも様々あります。
特に原因によって対処法が全く異なるため、自己判断で放置するのは危険です。
この記事では、歯ぐきの「ぶよぶよ」が示す主な原因をメカニズムとともに詳しく解説し、ご自宅でできる応急処置と、歯科医院で必要な専門的な対処法についてご紹介します。
歯ぐきの「ぶよぶよ」が示す主な原因とメカニズム
歯ぐきの一部が柔らかく、水を含んだように腫れる状態(浮腫)には、大きく分けて5つの原因が考えられます。
1. 歯周病の進行と急性化(最も多い原因)

歯周病は、歯ぐきの腫れを引き起こす最も一般的な原因です。
特に局所的に「ぶよぶよ」と腫れる場合は、炎症が急激に悪化し、膿が溜まっているサインです。
歯周病が進行すると、歯と歯ぐきの間の溝(歯周ポケット)が深くなります。
この深いポケットに歯ブラシでは取りきれないプラークや歯石が溜まり、細菌が大量に繁殖します。
体の免疫細胞が細菌と戦った結果、膿(うみ)が発生します。
この膿が袋状に溜まり、歯ぐきを内側から押し上げ、表面が赤く、柔らかい(波動性のある)「ぶよぶよ」とした腫れを形成します。
これは歯周ポケット膿瘍と呼ばれ、慢性的な炎症が急性化した状態です。
特徴
触ると強い痛みを感じたり、熱を持ったりすることがあります。
歯と歯ぐきの間から膿が出ることがあります。
歯周病が進行している方は特に注意が必要です。
歯周ポケットから血や膿が排出されると、一時的に腫れが引くこともあります。
2. 根尖病変(こんせんびょうへん)による膿の出口

過去に神経を抜いた歯(失活歯)の治療が原因で、歯ぐきがぶよぶよと腫れることがあります。
過去の虫歯治療などで神経を取り除いた後、歯の根の管(根管)内部に細菌が残存していると、細菌が根の先端(根尖)から骨の中へ感染を広げます。
そこで細菌と免疫細胞が戦いを続けることで、骨の中に慢性的な「膿の袋」(根尖病巣)が形成されます。
この膿が、逃げ場を求めて骨を溶かしながら歯ぐきの表面に出てくるためのトンネル(サイナストラクト/フィステル)を作ります。
サイナストラクト(フィステル)の出口にあたる歯ぐきは、中に膿を含んだ「おでき」のような腫れとなり、ぶよぶよした感触があります。
特徴
腫れ自体に痛みがないことが多く、気づかないうちに治癒を放置しがちです。
触ると柔らかく、押すと膿が出て、一時的に腫れが引くこともあります
膿が出てもまた溜まることを繰り返し、根本的な原因(根の感染)を治療しない限り自然治癒することはありません。
3. 詰め物・被せ物の不適合と刺激

治療済みの歯の詰め物や被せ物(クラウン)が、原因となっていることがあります。
被せ物の縁が歯の根元にピッタリ合っておらず、わずかな段差がある場合、その段差に歯垢(プラーク)が溜まり、細菌が繁殖しやすくなります。
また、被せ物の縁が深すぎたり、歯ぐきを押しつけるような形になっていたりすると、その部分が慢性的な物理的刺激となり、歯ぐきが防御反応として炎症を起こし、ぶよぶよと腫れます。
特徴
腫れが比較的一定で長引きやすく、特に被せ物の縁に沿って歯ぐきが赤くぶよぶよしていることが多いです。
歯周病ではないのに、その歯だけが腫れている場合に強く疑われます。
4. 歯磨きやフロスによる「外傷」と異物

硬い歯ブラシで強くゴシゴシ磨く行為や、無理な角度でフロスを歯ぐきに強く当てる行為は、歯ぐきの表面に傷を作ります。
また、ポップコーンの皮や魚の骨などの硬い食べ物の破片が歯ぐきに突き刺さり、そのまま残ってしまう(異物迷入)と、その異物を排除しようとする体の防御反応として、異物の周りが赤く、ぶよぶよと腫れ上がります。
また、治療時に使用した小さな異物(詰め物のカスなど)が歯ぐきに入り込んでしまうことも、局所的な腫れの原因となることがあります。
特徴
原因が取り除かれれば数日で腫れが引きます。
異物がある場合は、その異物が取り除かれるまで腫れが続きます。
5. 薬の副作用による歯肉増殖(薬物性歯肉増殖)

服用している薬が原因となって、歯ぐきが腫れてくるケースです。
一部の高血圧の薬(カルシウム拮抗薬)、てんかんの薬(抗てんかん薬)、免疫抑制剤などを服用している場合、その薬の成分が、歯ぐきの細胞の増殖を促す因子となって作用することで、歯ぐきが異常に膨らみます。
これは一種の線維芽細胞(結合組織を作る細胞)の増殖であり、歯ぐき全体が大きく、硬く、ぶよぶよと増殖します。
特徴
歯ぐき全体が腫れやすいですが、特に前歯の周囲など、汚れが溜まりやすい部位で顕著に膨らみます。
薬の服用を続ける限りは、歯磨きを頑張ってもなかなか改善しません。
ご自宅でできる応急処置と専門的な対処法
「ぶよぶよ」とした腫れを見つけたら、まずは以下の応急処置を行い、原因を特定するため速やかに歯科医院を受診してください。
ご自宅での応急処置(腫れを悪化させないために)
腫れた部分を刺激しない
歯ブラシや指で腫れた部分を強く触ったり、無理に膿を出そうとしたりするのは避けてください。
患部を清潔に保つ
熱いお湯ではなく、人肌程度のぬるま湯や刺激の少ないうがい薬で優しくうがいをし、口腔内全体を清潔に保ちます。
患部付近は優しくブラッシング
腫れている部分の周りは、柔らかい歯ブラシの毛先をそっと当てるように優しく磨き、炎症の原因となるプラークを除去します。
歯科医院での専門的な対処法
歯科医院では、レントゲンや歯周ポケット検査、問診などを総合的に行い、腫れの原因を特定した上で、根本的な治療を行います。
歯周病の進行(歯周ポケット膿瘍)の場合

この場合、細菌の塊である歯石を徹底的に除去することが最優先です。
局所麻酔を行い、歯周ポケットの奥深くまで溜まった歯石を専門器具で丁寧に取り除きます(スケーリング・ルートプレーニング)。
腫れがひどく、膿が溜まっている場合は、切開して膿を出し、抗生剤を処方して急性症状を抑えます。
当院では伊藤公一先生監修のもと、再発を防ぐための専門的な口腔ケア指導も徹底しています。
根尖病変(根の先の膿)の場合

腫れの原因が歯の根の先にあると診断された場合、根管治療(歯の根の内部の治療)を行います。
被せ物や詰め物を外し、歯の内部に感染した神経や膿を専用の器具で徹底的に除去・消毒します。
この治療により、感染源が取り除かれれば、骨の中の膿の袋は自然に治癒に向かい、歯ぐきにできた膿の出口(フィステル)も自然に塞がります。
詰め物・被せ物の不適合による刺激の場合

合っていない被せ物は、段差や合わない形が刺激の原因となります。
原因となっている詰め物・被せ物を除去し、歯の形を整えた上で、精密に適合する新しいものに交換します。
これにより、歯ぐきへの刺激がなくなり、汚れも付きにくくなるため、炎症が改善します。
薬の副作用による歯肉増殖の場合

まず服用されている薬の種類を問診で確認し、必要に応じて患者さまの処方医と連携を取り、薬の種類や量の変更を検討します。
歯科側では、増殖してしまった歯ぐきが清掃の邪魔になっている場合は、外科的に増殖した歯肉を切除する処置を行い、歯磨きがしやすい環境を整えます。
結論:自己判断せず、原因の特定を最優先に

歯ぐきの「ぶよぶよ」は、単なる歯周病のサインに留まらず、過去の治療の不具合や、根の病気が進行しているサインである可能性があります。
特に、痛みがなくても膿が出ている場合(フィステルの疑い)は、歯の根の内部で病気が静かに進行していることが考えられます。
これは自然治癒しないため、放置すると最終的に抜歯に至るリスクが高まります。
不安を解消し、大切な歯を守るためにも、「ぶよぶよ」とした異常を見つけたら、自己判断せずに、速やかに当院にご相談ください。
精密な診断で原因を特定し、適切な専門治療をご提供いたします。
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