「早産」と「流産」と歯周病のつながり。口腔内管理の重要性とプレコンセプションケア。
2025/07/26
早産と歯周病のつながり。プレコンセプションケアの勧め。
早産や流産に歯周病が関わっているという事が、以前より言われています。
この点、詳細なことは解明されていませんが、歯周病菌が発生することで生じるサイトカイン(炎症性物質)が子宮を収縮させることなどが分かってきています。
このような点を踏まえて、今回は「歯周病対策」(口腔内ケア)を妊娠前から行うことの重要性をお話します。
1 早産とは?
早産は出産全体の5%を占めており、妊娠22週~37週未満の出産のことを定義します。
また、早産で生まれた赤ちゃんのほとんどは低出生体重児(2500g未満)です。
早産児は成長が未発達なことによる疾病リスクや、将来的に特定の疾病リスクが高いことが分かっています。
2 早産の原因
早産の主な原因は「子宮内感染」「頸管無力症」「全身性炎症」の3つです。
このうち、3つ目の「全身性炎症」に、歯周病が関わっていると言われています。
歯周病がかかわる「全身性炎症」とは?
歯周病により産生された「炎症性の物質」(サイトカイン)が、肝硬変や糖尿病などの全身性疾患を悪化させる原因のひとつであることが分かってきています。
妊婦においても、サイトカインの産生により、「子宮の収縮」が増強される可能性が知られています。
これまでの研究で、「歯周病」がその原因のひとつではないかと考えられています。
3 歯周病が早産にかかわるメカニズム
妊娠中期以降に女性ホルモンの増加により「歯周病菌」が増えると、歯茎に炎症が生じます。
そのため、歯周病菌を排除するために、前述した炎症性物質(サイトカイン)が産生されます。
このサイトカインが体内で増加することにより、実は様々な全身疾患を引き起こすことが分かっています。
その1つが、「子宮の収縮」です。
これが、いわゆる「早産」の原因のメカニズムと考えられています。
4 近年わかってきた新しいメカニズム
最新の研究からは、妊婦の「胎盤」や「卵管」に歯周病菌による炎症が起きていることが分かっています。
それが「陣痛」の原因となり、早産を起こすことにつながると考えられています。
そして、妊娠初期でも歯周病による早産や流産を起こすことが分かりつつあります。
したがって、妊娠してから歯科医院を受診し歯周病対策を行うことも大切ですが、妊娠前から歯科医院に受診し、お口のケアをすることも同じくらい大切です。
5 まとめ:プレコンセプションケアの勧め
「妊娠する前からの健康的なケア」
「妊娠する前からの健康的なケア」をプレコンセプションケアといいます。
これは世界保健機関(WHO)で提唱されているものです。
早産と歯周病には、以前より「深い関係」があることがわかっています。
実際に歯周病に罹患している人は罹患していない人に比べて、「7倍」も、早産リスク、低体重児出産リスクが高まるデータもあります。
まだまだ、歯周病と早産の関係については詳細な結びつきが解明されていませんが、妊娠により「女性ホルモン」が増えることで、そのホルモンを好む「歯周病菌」が増殖し、歯周病が悪化し、結果的に、早産のリスクが上がるという点は明らかになっています。
このような観点からも、妊娠前からの口腔内の管理は非常に重要です。
健康な妊娠出産のためのプレコンセプションケア、そして妊娠中の口腔内管理を大切にしていきましょう。
神保町野本歯科医院 野本幸平
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