歯のゴシゴシは逆効果。強い歯磨きがNGな理由。
2025/07/02
強い歯磨きは逆効果
歯磨きというと「ゴシゴシ磨く」というイメージを持たれている方も多いと思います。しかし、ゴシゴシは歯のみならず、歯茎に対しても悪影響を及ぼすことがほとんどです。今回は適切な歯磨きの強さと、ゴシゴシの危険性をお伝えします。
1 歯をゴシゴシすることは、歯茎(歯肉)に悪い
歯をゴシゴシ磨くことは、強い力で磨いていることを意味しているため、いわゆる「摩耗効果」が十分に発揮されます。したがって、歯に付着した着色やプラークを磨くという点では有効です。
ただし、毎日の歯磨き習慣がしっかりできている方は、ゴシゴシと力をいれなくても、歯に付着した着色やプラークを除去することができます。
むしろ、歯をゴシゴシ磨くことは、デメリットが大きいのです。
以下は、歯をゴシゴシ磨いている方の歯の写真です。
歯茎が下がり、歯の根面が露出していることが分かります。これは経年的な「歯茎へのゴシゴシ力」が歯茎にダメージを与え続け、結果的に退縮(歯茎が下がる)しています。
歯の表面だけを磨いているように思えても、ゴシゴシと歯を磨いている時に、実際には「歯茎」にもその刺激が加わっている場合が多くあります。つまり、歯ブラシの毛先が歯茎にも当たっているため、歯茎がダメ―ジを受け、下がってしまいます。
*一度下がった歯茎は、元に戻ることはないため、この点は大変に注意が必要です。
2 歯をゴシゴシすることは歯に悪い
歯をゴシゴシすると、同時に歯茎にもそのダメージが加わっている場合が多く、歯茎の退縮を起しますが、実は歯に対しても非常に重大な問題を起します。
順番としては、まず「歯茎」にダメージを与えます。その結果として、歯茎が下がり歯の根面が露出します。このシチュエーションになってからも、歯をゴシゴシ磨いてしまうと、今度は、露出した歯の根面部分が、どんどん削られてしまいます。なぜならば、歯の表面よりもはるかに軟らかい組織のためです。
つまり、歯の表面(エナメル質)を磨く力で根面を磨いてしまうことで、歯の根面は削られてしまい、結果として、歯に凹みをつくってしまいます。
凹みができた歯は、後述する「歯の知覚過敏」や「歯の破折」にまで波及します。
3 歯をゴシゴシすることのリスク
歯茎が下がることでどのような問題があるか?
知覚過敏を起こしやすい
歯茎が下がることは、歯の象牙質(根面)の露出につながります。この根面部位は、歯の表面の白い部分(エナメル質)と比較して、「軟らかい組織」になっています。したがって、強いコーティングがなされていないため、飲んだものや、与えた刺激や、その内部にある「神経」に伝わりやすくなっています。
そのため、歯茎が下がってしまっている方の場合、「知覚過敏」を起こしやすくなります。
虫歯を起こしやすい
歯の根面部分は、部位的に歯磨きをしづらい形態になっています。つまり、歯の表面と比べて難易度があがるため、虫歯になる可能性が高まります。そして、この組織はエナメル質と比べて、軟らかいため、虫歯の進行も早い特徴があります。
歯の破折を起すことがある
歯は、下にいけばいくほど「細い形態」になっています。その細い部分が骨に埋まっているため、歯が動かないで固定されています。その根幹となる根面部分が削られてしまうことで、歯の土台がダメージを受けます。たとえばそのような状況で強い外力が加わった場合、通常よりもはるかに破折するリスクが高まります。
4 正しい歯磨きの強さとコツ
1歯1歯を弱く振動(マッサージ)させるように磨く
まとめて磨くことが、ゴシゴシになりやすいため、1歯1歯に歯ブラシを当て、微動させながら磨いていくことが重要です。「これだと磨けない」と思われる方もおりますが、この方がむしろ歯と歯茎の隙間に毛先が入り、プラークを除去できます。
ペングリップで持つ
ゴシゴシと磨いてしまう方の場合、持ち方を変えることで、自然と力が生じにくくなります。その秘訣は、「持ち方」です。力を強く入れてしまう方は、歯ブラシを握りしめている場合が多い傾向にあります。その持ち方で歯磨きをすると、必然的に力が入りやすくなります。したがって、ボールペンを持つような「ペングリップ」で持つことにより、必然的に力を入れにくい形をとることが有効です。
神保町野本歯科医院 野本幸平
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