日本人の歯の喪失原因の約50%は歯周病によると言われています。歯周病とは、歯を支える周りの組織が失われていく病気です。歯にプラーク(細菌の塊)が付着することにより、歯肉(茎)に炎症(腫れ)が生じ、そのまま放置しておくと、歯を支えていr骨(歯槽骨)まで溶かし始め、最終的には歯が抜けてしまいます。
最近になって、歯周病と全身疾患との関連や、歯周病と生活習慣や喫煙などとの関わりも次々と明らかになっており、歯周病の治療は歯科医療において日に日にその重要性が増してきています。いまでは、糖尿病外来からの紹介患者様も増えてきています。まさに、連携医療になりつあります。
健康に楽しく生活するためにも、歯周病の治療を受けることは大変重要なことです。歯周病の治療は、各患者さんの歯肉(茎)の状態の詳しい診査からはじまり、プラークコントロール(プラーク等を除去し、付着しないようにすること)の徹底や、歯石除去などを行います。重要なのは、早期発見・早期治療です。
■歯周病とは ?
歯周病は、文字のとおり「歯」の「周」りの「病」です。つまりそれは「歯を支える骨」「その周りを覆う歯肉」に生じる病気を指します。
具体的には「歯を支える骨が溶ける(その結果、最終的に歯は抜けてしまう)」ことや、「歯肉が腫れる(歯と歯肉の間に歯垢が溜まることで生じる)」などが生じます。
歯周病の怖さは「最終的に歯を失う」ことにつながる点です。歯を失うことの被害が、はかり知れません。しかしながら、年齢とともに『何もケアをしない』場合には、確実に歯周病は進んでいきます。歯が抜ける以外にも、「歯茎から血が出る」「息がくさくなる」などの現象が生じます。
対応法は、「歯を磨く」というよりも、「歯と歯肉の境」を磨くことです。なぜならば、歯と歯肉の境(ポケットと言われる所)に、歯垢(プラーク)と呼ばれる食渣と細菌の集合体が溜まることが、「歯周病は生じる原因」のためです。
絵でイメージをして磨くことで、より適切な歯周病のケアになっていきます。
■歯周病の原因
☑歯周病は必ずかかる病気なのですか?
歯周病は必ずかかるわけではありません。歯周病の多くは、原因であるプラークや歯石を日頃の歯磨きや、定期的な歯科検診などを受けることにより除去することで予防することができます。予防できない歯周病もありますが、遺伝性の病気など、非常に特殊な場合です。
☑歯周病の原因である「プラーク」って何でしょうか?
プラークとは、歯に付着している白、または黄白色の粘着性の沈着物で、非常に多くの細菌とその産生物から構成されています。
またプラークはバイオフィルムとも呼ばれていて強固に歯に付着してるだけでなく、薬品だけでは除去しにくい状態になっています。そのためにしっかりと歯ブラシ等で除去することが大切になります。
☑全身の病気と歯周病の関係について教えてください。
歯肉は体の中でも非常に敏感な組織です。またお口の中は全身の中でも微生物、細菌などが最も多く存在している場所でもあります。そしてあらゆる全身疾患と歯周病の関連性が近年の研究により指摘され始めています。歯周病との関連を挙げられているものには呼吸器系疾患、心疾患、糖尿病や妊娠などがありますが、なかでも糖尿病との関連は深く糖尿病は歯周病を悪化させる大きな原因のひとつでもあるのです。
■歯周病の症状
☑歯ブラシのときに出血したり、しなかったりするのですが、どうしてですか?
歯肉に炎症が起きていると食物や歯ブラシ程度の刺激でも歯肉から出血しやすくなります。ただ、炎症の進行やその日の全身の健康状態などにより必ず出血するとは限りません。
歯磨きのとき一度でも出血したことに気づいたならば、早めの受診をお奨めします。
☑朝起きたときに歯ぐきに違和感があるのですが、どうしてでしょうか?
夜寝ている間は、唾液が流れずお口の中が乾きやすくなります。お口の中が乾くと細菌の活動性が高くなります。つまり寝ている間は歯肉にとって危険な時間といえるでしょう。おやすみ前の歯磨きは特に気を付けましょう。
また寝ている間に歯ぎしりしていて歯と歯ぐき(歯肉)に負担があったのかもしれません。
(参考:日本歯周病学会)