歯に原因がない「歯痛」の正体:非歯原性歯痛の完全ガイド

      2026/01/28

神保町の歯医者、神保町野本歯科医院で歯に原因がない「歯痛」の正体:非歯原性歯痛の完全ガイドについて解説

神保町野本歯科医院の院長、野本です。

「歯が激しく痛むのに、歯医者に行っても『虫歯はない』と言われた」
「レントゲンを撮っても異常がないのに、痛み止も効かない」

もしあなたがそのような状況にあるなら、それは歯そのものの問題ではなく「非歯原性歯痛(ひしげんせいしつう)」かもしれません。
歯科医師として最も避けなければならない悲劇は、「歯に原因がないのに、健康な歯を削ったり神経を抜いたりしてしまうこと」です。

非歯原性歯痛は、原因が多岐にわたるため診断が非常に難しく、患者さまも歯科医師も迷宮に迷い込みやすい分野です。
この記事では、非歯原性歯痛の全貌を明らかにするため、考えられる原因を網羅的に列挙し、それぞれのメカニズムから対処法まで、徹底的に解説します。

 

歯原性歯痛と、非歯原性歯痛の違い

歯原性歯痛(しげんせいしつう)

神保町の歯医者、神保町野本歯科医院で歯に原因がない「歯痛」の正体:非歯原性歯痛の完全ガイドについて解説

いわゆる「本物の虫歯・歯周病の痛み」です。
歯の中の神経(歯髄)や、歯を支える組織に細菌が感染し、そこで直接炎症が起きている状態です。
原因となっている歯を叩いたり(打診)、冷たいものを当てたりすると、はっきりと反応が出ます。

治療法
虫歯を削る、神経を取る、歯石を取るなど、「歯に対する直接的な処置」で解決します。

 

非歯原性歯痛(ひしげんせいしつう)

神保町の歯医者、神保町野本歯科医院で歯に原因がない「歯痛」の正体:非歯原性歯痛の完全ガイドについて解説

脳が起こす「痛みの勘違い(関連痛)」です。
歯以外の場所(鼻、心臓、筋肉など)から発せられた痛みの信号が、脳に伝わる途中で「歯の神経からの信号」と混線してしまいます。脳は「歯が痛い!」と誤って認識しますが、歯そのものは健康です。
歯を削っても神経を抜いても痛みが止まりません。なぜなら、痛みを発信している「本体」が別の場所にあるからです。

治療法
原因に合わせて、耳鼻科での治療、筋肉のマッサージ、内服薬(神経の薬)、心身のケアなど、「歯以外へのアプローチ」が必要です。

 

「歯原性」と「非歯原性」の違い比較表

比較項目 歯原性歯痛(原因=歯) 非歯原性歯痛(原因=歯以外)

痛みの正体

歯そのもの、または歯の周囲の病気。

別の場所の痛みが「歯の痛み」として脳に誤伝達されたもの。

主な原因

虫歯、歯周病、歯の根の炎症、歯のひび割れ。

筋肉のこり、神経の誤作動、副鼻腔炎、心臓疾患、ストレス。

場所の特定

「この歯が痛い」と指で指し示せる。

「この辺全体が痛い」と、場所がぼんやりしている。

刺激への反応

冷たいもの、熱いもの、甘いものでしみる。

運動、お辞儀、顔への接触、ストレスなどで痛む。

麻酔の効果

麻酔を打つと、ピタッと痛みが消える。

麻酔を打っても、痛みが消えないことが多い。

レントゲン

虫歯の穴や、根の先の影が見える。

歯には全く異常が見られない。

 

【原因別】非歯原性歯痛の8つのカテゴリー

「歯が痛い=虫歯か歯周病」という思い込みは、時に危険です。
実は、歯の痛みを感じる神経は、他の場所(筋肉、鼻、神経、心臓など)で発生した痛みの信号を「歯の痛み」として脳が勘違いして受け取ってしまうことがあります。これを「関連痛」と呼びます。
日本口腔顔面痛学会の分類に基づき、非歯原性歯痛を8つの大きな原因に分けて解説します。

 

1. 筋・筋膜性歯痛(きん・きんまくせいしつう)

神保町の歯医者、神保町野本歯科医院で歯に原因がない「歯痛」の正体:非歯原性歯痛の完全ガイドについて解説

非歯原性歯痛の中で最も頻度が高いのが、筋肉が原因の痛みです。
噛むための筋肉(咬筋や側頭筋など)の中に、過度な緊張や疲労によって「トリガーポイント(痛みの引き金となるしこり)」ができます。
ここから発生した痛みの信号が、脳に伝わる途中で歯の神経の信号と混ざり合い、歯が痛いと感じさせます。


特徴

鈍い痛み、重苦しい痛みが続く。

噛む筋肉を押すと、いつもの「歯の痛み」が再現される。

朝起きた時に痛みが強い(夜間の食いしばりが原因の場合)。

冷たいものや熱いものにはしみない。

 

2. 神経障害性歯痛(しんけいしょうがいせいしつう)

神保町の歯医者、神保町野本歯科医院で歯に原因がない「歯痛」の正体:非歯原性歯痛の完全ガイドについて解説

痛みを感じる「神経」そのものが傷ついたり、誤作動を起こしたりしている状態です。


三叉神経痛(さんさしんけいつう)
「電気が走るような」「突き刺すような」鋭い激痛。
数秒から数分で収まるが、洗顔や食事、あるいは歯磨きがきっかけで発作が起きる。

帯状疱疹後神経痛
過去に帯状疱疹にかかった際、ウイルスが神経を傷つけたことで、皮膚に症状がなくても歯の周辺に持続的な痛みやヒリヒリ感が出る。

非定型歯痛(持続性特発性顔面痛)
抜歯や神経の処置をした後、傷は治っているのに数ヶ月〜数年にわたってジワジワとした痛みが続く。
神経の過敏化が原因と考えられています。

 

3. 神経血管性歯痛(しんけいけっかんせいしつう)

神保町の歯医者、神保町野本歯科医院で歯に原因がない「歯痛」の正体:非歯原性歯痛の完全ガイドについて解説

頭痛(片頭痛や群発頭痛)が歯の痛みとして現れるケースです。
頭の中の血管が拡張し、周囲の三叉神経を刺激することで発生します。


片頭痛型
数時間から数日、脈打つような(拍動性)痛みが歯にくる。
光や音に敏感になる、吐き気を伴うこともある。

群発頭痛型
「目の奥をえぐられるような」激痛とともに、上の奥歯が激しく痛む。
毎日決まった時間に起きることが多い。

 

4. 上顎洞性歯痛(じょうがくどうせいしつう)

神保町の歯医者、神保町野本歯科医院で歯に原因がない「歯痛」の正体:非歯原性歯痛の完全ガイドについて解説

鼻の横にある空洞「上顎洞」の炎症(副鼻腔炎・蓄膿症)によるものです。
上顎洞の底には上の奥歯の根っこが非常に近接(あるいは突き出している)しています。
上顎洞が炎症を起こすと、その圧力が歯の神経を刺激します。


特徴

上の奥歯(特に複個数)が全体的に浮く、響く。

頭を下げたり、お辞儀をしたり、階段を降りる時の振動で歯に響く。

鼻詰まり、鼻水、頬の圧迫感を伴う。

 

5. 心源性歯痛(しんげんせいしつう)

最も見逃してはならない、命に関わる歯痛です。
狭心症や心筋梗塞の発作時、心臓からの痛み信号が、迷走神経や三叉神経を介して「下の顎や歯の痛み」として脳に伝わることがあります。


特徴

主に下の左側の奥歯が痛むことが多い(右側や両側のこともある)。

歩行中や階段を登る時など、運動時に痛みが出て、休むと治まる。

歯の痛みとともに、胸の圧迫感や息苦しさ、左肩への放散痛がある。

 

6. 精神病性歯痛(せいしんびょうせいしつう)

心理的な要因(強いストレス、抑うつ、不安症など)が身体症状として現れるものです。


特徴

痛みの場所が日によって変わる

あちこちの歯が順番に痛む

従来の治療で全く改善しない。


ただし、「気のせい」ではなく、患者さま本人は確実に痛みを感じています。

 

7. 特発性歯痛(とくはつせいしつう)

現在の医学、あらゆる検査を行っても原因が特定できない歯痛です。

 

8. その他の疾患による歯痛

腫瘍
上顎洞や口腔内にできた腫瘍が神経を圧迫して痛みが出る。

巨細胞性動脈炎
血管の炎症。咀嚼時に顎や歯が痛むのが特徴。

 

なぜ非歯原性歯痛は「誤診」されやすいのか?

非歯原性歯痛の診断が難しい最大の理由は、「患者さまが感じる痛みの場所が、あまりにもリアルに『歯』だから」です。

歯科医院には「歯が痛い」と言って来院されるため、歯科医師はまず歯を疑います。
虫歯の初期症状と非歯原性歯痛の区別がつかず、「とりあえず神経を抜いてみましょう」という治療が行われてしまうことがあります。

しかし、原因が歯以外にある場合、神経を抜いても痛みは1mmも変わりません。
痛みが取れないことで、患者さまはさらに不安になり、別の歯の処置を希望する……という「ドクターショッピング」に陥りやすくなります。

 

非歯原性歯痛・セルフ問診票(診断のヒント)

A. 痛みの「性質」と「場所」について

[ ] 1. 痛みは「ズキズキ」ではなく、「重苦しい」「ジンジンする」鈍い痛みだ。
[ ] 2. どの歯が痛いのか、指で1本に特定するのが難しい(広範囲が痛む)。
[ ] 3. 痛む場所が、日によって、あるいは時間によってあちこち移動する。
[ ] 4. 歯だけでなく、顔の筋肉やこめかみ、顎の関節も重だるい。


B. 痛みの「きっかけ」と「変化」について

[ ] 5. 冷たいものや熱いものを食べても、特に痛みは変わらない。
[ ] 6. 階段の上り下りや、お辞儀(頭を下げる動作)をすると歯に響く。
[ ] 7. 洗顔、化粧、髭剃りなどで顔に触れた瞬間に「電気のような激痛」が走る。
[ ] 8. 歩いたり、重い荷物を持ったりする「運動時」に歯が痛くなり、休むと治まる。
[ ] 9. 仕事中やストレスを感じている時に痛みが強くなる。


C. 「お口以外」の症状について

[ ] 10. 鼻が詰まっている、またはドロッとした鼻水が出る。
[ ] 11. 歯痛と同時に、激しい頭痛や目の奥の痛みを感じることがある。
[ ] 12. 歯痛に伴い、胸の圧迫感、息苦しさ、または肩や腕の痛みがある。
[ ] 13. 以前から肩こりや首の凝りがひどい。


D. これまでの「治療経過」について

[ ] 14. 歯科医院で「異常なし」と言われたが、痛みは続いている。
[ ] 15. 神経を抜いたり、被せ物を変えたりしても、全く痛みが変わらなかった。
[ ] 16. 市販の痛み止め(ロキソニン等)を飲んでも、あまり効果が感じられない。

 

結果の判定と、疑われる原因

チェックがついた項目から、以下の可能性が考えられます。

A(1, 2, 4)+ C(13)にチェックが多い方
【筋・筋膜性歯痛】の可能性
噛み合わせや食いしばりによる筋肉の疲労が原因かもしれません。
マッサージやマウスピース、生活習慣の改善が有効です。

B(7)+ D(16)にチェックがある方
【神経障害性歯痛(三叉神経痛など)】の可能性
神経そのものの誤作動が疑われます。
歯科治療ではなく、脳神経外科やペインクリニックでの内服薬治療が必要なケースです。

B(6)+ C(10)にチェックがある方
【上顎洞性歯痛(副鼻腔炎)】の可能性
鼻の炎症が上の奥歯に響いています。
耳鼻咽喉科での治療を優先することで、歯の痛みも消えることが多いです。

B(8)+ C(12)にチェックがある方
【心源性歯痛】の可能性
非常に緊急性が高いサインです。
心臓疾患の関連痛として歯が痛んでいる可能性があるため、至急、循環器内科を受診してください。

B(9)+ D(14, 15)にチェックが多い方
【精神病性歯痛・非定型歯痛】の可能性
心理的ストレスや、神経の過敏化が原因かもしれません。
これ以上歯を削るのを止め、専門のカウンセリングや、痛みの伝達を抑えるお薬の検討が必要です。

A(3)+ B(5)+ C(11, 16)にチェックがある方
【神経血管性歯痛(しんけいけっかんせいしつう)】の可能性
この組み合わせは、歯の痛みそのものではなく、「頭痛(片頭痛や群発頭痛)」が歯の痛みとして化けて出ている状態を強く示唆しています。

 

受診される際のアドバイス

神保町の歯医者、神保町野本歯科医院で歯に原因がない「歯痛」の正体:非歯原性歯痛の完全ガイドについて解説

歯科医院を受診される際は、以下の3点を歯科医師に伝えるとよいでしょう。

「いつ、何をすると痛いか」(例:歩くと痛い、顔に触れると痛い)
「痛みの種類」(例:電気のような、重苦しい、脈打つ)
「歯科治療歴」(例:治療しても変わらなかった等)

神保町野本歯科医院では、この問診内容をベースに、さらに詳細な診査を行い、あなたの痛みが「歯からなのか、それ以外からなのか」の迷宮から出口を見つけるお手伝いをします。

 



神保町野本歯科医院:https://nomodent5454.com/

〒101-0051 東京都千代田区神田神保町2-19-1 リーガルタワー神保町1F
電話:03-5276-5454

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