【2026年最新】インプラントは保険適用できる?条件と費用を賢く抑える「医療費控除」完全ガイド
2026/02/11
神保町野本歯科医院の院長、野本です。
「インプラントを保険でやりたい」というご相談をいただくたびに、私は歯科医師として非常に心苦しい思いをします。
なぜなら、インプラントは現時点で「最も天然の歯に近い機能を取り戻せる治療」でありながら、国が定める保険診療の枠組みでは、まだ「贅沢品(自由診療)」の扱いだからです。
しかし、知っているのと知らないのとでは、最終的な支払い額に大きな差が出ます。
まずは、「どんな人なら保険で受けられるのか」という厳しい条件から見ていきましょう。
インプラントが保険適用される「症例」と「条件」のすべて
インプラント治療で保険が効くかどうかは、単に「歯がないから」ではなく、「なぜ歯(および顎の骨)を失ったのか」という理由が厳密に問われます。
1. 患者さま側の条件(対象となる症例)
以下のいずれかに該当し、かつ「ブリッジや入れ歯では噛む機能の回復が困難である」と診断された場合に限られます。
先天的な疾患(生まれつきの病気)
生まれつき歯の数が極端に少ない、あるいは顎の骨が形成されていないケースです。
先天性無歯症(せんてんせいむししょう)
永久歯が6本以上、生まれつき欠損している場合。
顎骨の形成不全
連続して顎の骨の1/3以上が形成されていない場合。
指定された難病
唇顎口蓋裂(しんがくこうがいれつ)や外胚葉異形成症(がいはいよういけいせいしょう)など、特定の疾患に伴う欠損。
後天的な大きな損傷(事故や病気)
通常の歯科治療(虫歯や歯周病)の範疇を超えた、骨の喪失が伴うケースです。
腫瘍や癌(がん)の手術
顎の腫瘍や口腔癌などの切除手術により、顎の骨の連続して1/3以上を失った場合。
顎骨骨髄炎(がっこつこつずいえん)
重度の炎症により、広範囲にわたって顎の骨を失った場合。
重大な外傷(事故)
交通事故や転落、第三者による加害行為などにより、顎の骨を連続して1/3以上失った場合。
保険適用外となる代表例
虫歯・歯周病
日本人の抜歯原因のツートップですが、これらは保険適用の対象外です。
加齢による骨吸収
年を重ねて骨が痩せてしまった場合も、保険は使えません。
歯根破折
歯が割れてしまった場合も、保険適用外です。
2. 医療機関側の条件(どこで受けられるか)
たとえ患者さまが上記の症例に当てはまっていたとしても、「近所の歯科医院」では保険のインプラント治療は行えません。
厚生労働省が定める非常に高いハードル(施設基準)をクリアした病院である必要があります。
施設基準の主なチェックリスト
「病院」であること
一般的な「歯科医院(診療所)」ではなく、入院設備(20床以上)を持つ大学病院や総合病院であること。
標榜科目
「歯科」または「歯科口腔外科」を掲げている保険医療機関であること。
医師の経験値
以下の条件を満たす常勤の歯科医師が2名以上配置されていること。
・歯科または口腔外科の経験が5年以上
・インプラント治療の経験が3年以上
24時間体制
術後の急変やトラブルに対応できる、当直体制が整備されていること。
安全管理
医療機器の保守点検や、医薬品の安全管理体制が徹底されていること。
なぜ「1/3以上の骨の欠損」が条件なのか?
多くの項目で「顎の骨の1/3以上」という言葉が出てきます。
これは、「通常の入れ歯では、支える土台(骨)がなさすぎて、物理的に安定させることが不可能」なレベルを指しています。
「入れ歯でもなんとかなる状態」であれば、国は保険適用の安い治療(入れ歯)を優先します。
インプラントが保険になるのは、「インプラントという高度な技術を使わなければ、人間らしい食生活が送れない」という生存権に関わるような特殊な救済措置であるため、これほどまでに条件が厳しいのです。
院長からのアドバイス
「自分のケースは当てはまるかも?」と思われた方は、まずは紹介状を持って大学病院の口腔外科を受診されることをお勧めします。
一方で、残念ながら条件に当てはまらなかった99%の患者さまは、自費診療としてのインプラントを検討することになります。
その際は、次にご紹介する「医療費控除」を最大限に活用し、実質的な負担を減らす方法が最も現実的で賢い選択となります。
保険が効かないなら「医療費控除」で賢く取り戻す!
「保険が効かないなら、やっぱり高いお金を払うしかないのか……」と肩を落とさないでください。
ここで登場するのが「医療費控除」です。
インプラント治療は、高額であっても「噛む機能を回復するための正当な医療行為」として認められているため、確定申告を行うことで税金(所得税・住民税)が還付・軽減されます。
医療費控除の基本算式
1年間(1月〜12月)に支払った医療費の合計が10万円を超えた場合、以下の金額が課税対象となる所得から差し引かれます。
(支払った医療費の合計額 − 保険金などで補填された金額)− 10万円 = 医療費控除額
※所得が200万円未満の場合は、所得の5%を差し引きます。
【年収別】インプラント費用40万円を支払った場合の「実質軽減額」目安
年収が高いほど所得税率が高くなるため、戻ってくる金額(または安くなる住民税額)も大きくなります。
| 年収(目安) | 課税所得(目安) | 所得税率 | 概算の還付・軽減額(計) | 実質負担額 |
|---|---|---|---|---|
| 300万円 | 100万円 | 5% | 約4.5万円 | 約35.5万円 |
| 500万円 | 250万円 | 10% | 約6.0万円 | 約34.0万円 |
| 700万円 | 400万円 | 20% | 約9.0万円 | 約31.0万円 |
| 1,000万円 | 700万円 | 23% | 約10.0万円 | 約30.0万円 |
| 1,500万円 | 1,200万円 | 33% | 約13.0万円 | 約27.0万円 |
- 40万円のインプラント1本を想定。他の医療費がない場合の簡易計算です。
- 住民税(一律10%)の軽減分も含めて算出しています。
- 家族全員分の医療費を合算できるため、世帯で最も年収が高い人が申告するのが最もお得です。
インプラントの費用を「抑える」ため現実的な方法
保険適用が難しい以上、医療費控除以外に費用を抑える(あるいは支払いやすくする)方法を検討しましょう。
デンタルローンの活用(月払いで負担を分散)
一括払いが難しい場合、多くの歯科医院が「デンタルローン」を導入しています。
年利が数%程度と低く抑えられており、月々1万円以下の支払いで治療を始めることも可能です。
ポイント: デンタルローンの契約金額も、その年の医療費控除の対象になります。
医療費控除の「家族合算」を徹底する
あなた自身の医療費だけでなく、生計を共にする配偶者、子供、さらには実家の両親の通院費や薬代もすべて合算できます。
10万円の壁を越えれば超えるほど、節税効果は高まります。
高額療養費制度は使える?
残念ながら、自費診療であるインプラントには高額療養費制度は適用されません。
だからこそ、医療費控除が唯一の公的救済策となります。
民間の生命保険・医療保険はインプラントに使えるか?
公的医療保険(健康保険)の適用条件が非常に厳しい一方で、「民間の生命保険や医療保険」についても、「何か手当が出るのでは?」と期待される方は多いです。
結論からお伝えすると、民間の医療保険でインプラント費用のすべてを賄うのは難しいのが現状ですが、「手術給付金」などの形で一部の費用が戻ってくる可能性はゼロではありません。
民間の保険の場合、ポイントは「インプラントそのものの費用」ではなく、「インプラントを埋めるための手術」が給付対象かどうかという点にあります。
1. 「先進医療特約」の適用(※現在はほぼ対象外)
かつて、インプラント治療の一部は厚生労働省が定める「先進医療」に指定されていた時期があり、その頃の契約であれば「先進医療特約」から多額の給付金(100万〜200万円など)が出るケースがありました。
現在の状況
2026年現在、一般的な歯科インプラントはすでに「先進医療」の枠組みから外れています。
そのため、最新の保険契約でインプラントに対して先進医療特約が適用されることは、基本的にはありません。
2. 「手術給付金」が受け取れるケース
ご加入の医療保険に「手術給付金特約」がついている場合、インプラントの手術が「給付対象となる手術」に含まれているかどうかを確認してください。
対象になる可能性があるケース
不慮の事故(交通事故など)による外傷で、顎の骨の移植や複雑な手術を伴う場合。
顎の腫瘍などの病気が原因で、大掛かりな口腔外科手術を行う場合。
対象外になるケース
虫歯や歯周病、加齢が原因のインプラント手術。
「歯科診療所」で行われる一般的な手術(約款に「歯科診療所での手術は除く」と記載されている場合が多いです)。
保険会社へ問い合わせる際の「3つのチェック項目」
ご自身の保険が使えるかどうか、カスタマーセンターに電話する際は以下の3点を確認してみてください。
「歯科手術(インプラント)」は手術給付金の支払い対象か?
保険会社によっては「Kコード(公的医療保険の算定コード)」を聞かれることがあります。
「歯科診療所」での手術でも給付されるか?
大学病院のような「病院」でないと給付されない契約もあります。
「事故による欠損」の場合、特約はないか?
傷害保険などに加入している場合、事故が原因であれば別途「通院日額」などが出る場合があります。
診断書について
もし保険が適用される場合、保険会社指定の「診断書」を歯科医院で記入する必要があります。
当院のような歯科医院でも、必要に応じて診断書の作成は可能です(※文書作成料が別途かかります)。
院長からのアドバイス
民間の保険は、残念ながら「虫歯や歯周病でのインプラント」に対してはあまり寛容ではありません。
そのため、費用対策の優先順位としては、
医療費控除
(確実に対象となるため、最も節税効果が高い)
デンタルローン
(支払いを分散させ、かつ医療費控除の対象にもなる)
民間の医療保険の確認
(もし出たらラッキー、というスタンス)
という順番で考えるのが、最もストレスなく資金計画を立てられる方法です。
インプラントは確かに高額な治療ですが、それは「失った体の一部を、最高水準の技術で再建する」という価値があるからです。
費用を抑えるために安価なインプラントを探すことも一つの方法かもしれませんが、最も大切なのは、「10年後、20年後もトラブルなく使い続けられ、再治療のコストがかからないこと」です。
それが結果として、生涯でかかる医療費を最小限に抑えることにつながります。
神保町野本歯科医院では、インプラントの技術的なご説明はもちろん、医療費控除のシミュレーションやデンタルローンのご相談など、費用面でのサポートも徹底しています。
「自分にとって最適な治療を、いかに無理なく受けるか」。
その答えを一緒に見つけていきましょう。
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