本ページでは、当院の院長 野本幸平が、歯科に関わることをはじめ院内・院外活動など、ブログ形式で不定期に更新します。
*2024年8月~
▢10月8日
:前歯が割れた
1年くらい前でしょうか。朝9時前に「前歯が割れたから至急見てほしい」とお電話をいただきました。
さて、前歯が割れるとはどういうことでしょうか?
この方の場合、正しくは「前歯が割れたのではなく、前歯に装着していたかぶせ物の一部が破折した」というものでした。
患者様はしきりに「これじゃ人前にでれないので、応急的になんとかしていただきたい」と何度も述べられていました。まずは、この「現象」が起こった原因を考える必要があります。その最たるものは「強いかみ合わせ」と「脆い材質」に基づきます。すなわち、強いかみ合わせ(あるいは硬いもの:煎餅などを食べたこと)により、歯に被せていた「レジン」がかけてしまい、内部構造である「金属」が露出してしまった症例と考えられます。
このような場合、応急的な対応はだいぶ難しいのですが、「人前に出れない」という深刻な問題を解決することが先決です。まずは割れてしまった部分にレジンを一層盛り足しました。決して良い治療ではありませんが、それでも心理を変えることは可能です。患者様曰く、「まだ笑えないけど、なんとか生きた心地に戻りました」とおっしゃっていました。
翌々日、かみ合わせの調整を行い、「煎餅が大好き」という背景も踏まえ、脆い材質(レジン前装冠)ではなく、頑丈なジルコニアを用い、精密に治療を行いました。治療後、患者様は笑顔になり、私も幸せな気持ちになりました。そして現在も通っていただいております。
この症例を通じ、いかに私達歯科医師の役割が重要であるかを再認識しました。笑顔は日常にあふれるものですが、一度失った笑顔を取り戻したとき、人はより一層の幸せを感じることができます。そしてそこに携わる者として、目の前の患者様にとっての最適な対応をしていかなければならない。そう日々戒めています。
🔲9月15日
:ホワイトニングで笑顔に自信を
当院では、来院される方の7割は定期健診がメインです。その中で、状況が劣化してきている歯の治療や、寿命が近くなっている歯の補強治療などを行っています。今年になって顕著なことは、歯のクリーニング(=定期健診に付属)をする方の中で、「歯の医療ホワイトニング」を選択される方が増えてきていることです。これは私達が推奨していることも大きいのですが、歯の健康維持をする方にとって、医療ホワイトニングは素晴らしいモチベーションと喜びを与えてくれます。
歯のクリーニングが、歯の健康状態を保つこと(清潔の維持)をメインにした対応であるのに対し、歯の医療ホワイトニングは、歯を白くするため(黄ばみの改善)に行う対応となります。当院の医療ホワイトニングのやり方はとてもシンプルです。患者様の『お口にあったトレー』を製作し、それをご自宅で寝ている時に装着するだけです。その後、およそ2週間で成果が見えてきます(早い方は1週間で「ああ、白くなった」とおっしゃいます)。
これは手軽に始められるという点でも、人気がありますが、なにより、白くなるだけではなく、その後の「着色」が付きにくくなる効果や虫歯になりにくくなる効果もあり、併せて推奨できます。
歯の健康を維持しながら、美しい口元をつくることができれば、笑顔(スマイル)にも大きな自信が持てるでしょう。私はスマイルセラピスト(財団法人セラピー協会)の資格も持っておりますので、心理的にも笑顔のもつ効能を理解しています。なにより白い歯は人々からの印象が良いため、年齢問わずお勧めします。
なお、当院では、ホワイトニングの第一人者より、直接指導を受けた私が実施(トレーを制作、患者様への説明)をするため、成果がでやすく、安全に受けることができます。
少しでも当院のホワイトニングに興味のある方は、ぜひ以下からもご確認くださいませ。
🔲9月4日
:歯周病が糖尿病につながる理由
■インスリンを阻害することにつながる歯周病
日本糖尿病学会によると、糖尿病は『インスリンの作用不足によって高血糖をきたし、長期化することで、動脈硬化をも進行させる病気』とされています。私達は日常生活に必要な「エネルギーの源」を『食事』によって摂取します。摂取されたエネルギー源(ブドウ糖など)は「腸」で吸収され「血液中」に入ります。したがって、食事で摂取したエネルギー源は速やかに細胞に取り込ませてあげることが大事になります。
この時に働くホルモンが、『インスリン』です。インスリンは膵臓のβ(ベータ)細胞と呼ばれる細胞から、血糖値が上昇すると分泌され、血液中のブドウ糖を細胞に取り込ませる指令を出します。こうして、ブドウ糖ははじめて細胞に取り込まれエネルギーとして利用され、血糖値が低下します。
歯周病は『糖尿病の6番目の合併症』であると認識されており、糖尿病があると歯周病の進行が著しく促進されます。それはなぜか ?
■歯周病菌は「強力な毒素」を出す
歯周病を起こす細菌の多くは、『内毒素』と呼ばれる毒素を産生します。この毒素は非常に強力であるため、歯周病が重症化して毒素が生体に入り込むようになると、我々の体はこれを排除して何とか体を守ろうと『特定の物質』を分泌して戦います。実は、この物質こそが、前述した「インスリン」の効きを障害する物質(悪玉物質)なのです。
これが歯周病を予防することの非常に重要な理由の1つです。さらに、糖尿病になると傷の治りも悪くなるので、大掛かりな歯科治療をしなければならなくなる前に、歯周病も予防しておくことが重要です。ただ、歯周病は痛みを伴わないため、歯周病の程度がつかめません(これが歯周病の怖さです)。そのため、定期的な歯科受診によって、歯周病の重症度をチェックすることが推奨されています。
参考資料:日本歯周病学会 (perio.jp)
🔲8月26日
:著名人たちの歯の健康習慣
ここでは、日常生活の中で、歯を大切にする人たち(特に有名人)を紹介します。
❏孫正義氏(ソフトバンクグループ)
以下、 PRESIDENT 2019年8月2日号より抜粋
「孫氏が健康面で最も気を付けているのが「歯」で、世界中飛び回り超多忙な中でも「歯」の定期健診は欠かさない。どんなに多忙でも、3か月に1度の歯科検診は長年続けているのだそうだ」
❏石破茂氏(政治家)
以下、産経新聞デジタル2020/9/3より抜粋
「子供の頃、歯が悪くて泣きそうな思いをしたことがある。週に1回みてもらうことは大事なことだ。数少ない息抜きの場。定期的にきちんと見ていかないと。放っておくと大変なことになる」
❏勝間和代氏(経営コンサルタント)
以下、勝間和代氏のYoutubeチャンネルより
「私は2カ月に1回の歯の健診に行っています。若い時は虫歯が多く、大切な歯を失った過去があります。もっと早く歯のケアの方法を知っていればよかったと後悔しています」
❏日野原重明氏(聖路加国際病院名誉院長)
以下、PRESIDENT 2012年11月12日号より抜粋
歯の健康を保つことこそ長寿の秘訣です。
日野原重明先生は、生前から「歯と糖尿病を患うと取り返しがつかない」と述べていました。
「歯と歯茎の間からばい菌が入って歯周病にると、その菌が全身をめぐってインスリンの活動に障害を起こし、糖尿病の原因になることが最近わかってきました。毎食後の歯磨きはもちろん、虫歯がなくても2~3カ月に一度は歯科でチェックしてもらうようにしたい」
このインタビュー時、101歳の日野原先生は、「17本」の歯が残っていたといいます。
*1日でも歯を健康的に保つためにも、毎日のブラッシング、そして、1カ月~3か月に1回の定期健診が大切です。
🔲8月22日
:業界トップからの助言
歯科という世界は、誠に勉強熱心な先生が多い業界です。コロナ渦以降は、オンラインによるセミナーもずいぶん増えました。ただ私自身は、自分が本当に学びたいところを学ぶことが可能な「読書」による学び方を選択しています。特に水道橋には「シエン社」という日本屈指の歯科書籍の本屋さんがございます。いつも誰かしら歯科医師が入っており、先日伺ったときにも、お世話になっている某歯学部の教授が熱心に小さな座席で本を読んでおられました。
なお、歯科にはセミナー以外にも、『勉強』に特化したスタディーグループが存在します。「シアトル」にある『Seattle Study Club of Japan 【SSCJ】』が世界で最も大きな歯科のスタディーグループですが、日本にも『SJCD(Society of Japan Clinical Dentistry)』と呼ばれる、世界で3番目に大きなスタディーグループが存在します。このグループを設立された先生が、山崎長郎(やまざきまさお)先生です。世界中で山崎氏の本は翻訳出版されており、技術と影響力において、業界トップの歯科医師です。
私が山崎氏と初めて出会ったのは、大学3年生の頃でした。当時、2023年に逝去された「脳神経外科の世界的権威である福島孝典先生」に非常に影響を受けていたため、氏がかねてより述べていた『学生時代に自主的に勉強しなさい』というご指導に感化され、夏休みに歯科見学をするのがルーティンになっておりました。
数えきれないほどの歯科医院に見学をさせていただきましたが、その中でも特に印象に残っているベスト3の1つが、『原宿デンタルオフィス』という、前述した山埼長郎先生が院長を務める歯科医院でした。
・信じられないおしゃれな空間
・お昼はスタッフ全員分の出前のお弁当
・壁とマウスパットが連動する最新設備
・広い専用技工室にロックが流れている
今でも忘れられない強烈なイメージがたくさん残っています。なにより、一流の歯科医師のもとには、一流の歯科衛生士、一流の事務員がいることにも、感銘を受けました。
私自身が2018年に設立した研究会においても、山﨑先生に何度かお話をいただいておりますが、一昨年77歳になられた時に実施した際、『俺は今でも現役で毎日来ている』とエネルギー満杯におっしゃっていたのが印象的でした(以下はその時のミーティング当時の写真です)。
(山崎長郎氏:日本臨床歯科学会 理事長)
山﨑氏からいただいた激励 のアドバイス !
『仕事に対し、患者様に対し、ある種の愛をもって接することだ』
この言葉は、山﨑氏の師匠『レイモンドキム氏(アメリカの歯科医師)』が常日頃から述べていたとのことです。非常に共感できるご助言を、ありがとうございました。
🔲8月15日
:歯の健康意識UPにホワイトニング
当院の患者様の70%は、予防(歯の定期クリーニングと健診)目的でご来院いただいております。近年、クリーニングをされている方で『ホワイトニング』をされる方が増えています。
実は、ホワイトニングをすることは、クリーニングと大きな相乗効果を発揮します。
■クリーニングとホワイトニングを並行する意義
クリーニングをすると、『歯についた着色』が掃除され、『歯石』を除去できるため、お口の中が「すっきり」とし、『また来よう』と思えるのですが、それでも『継続は難しい』という方や、『自宅でのケアが難しい』という方も、稀におられます。このような方には、当院ではホワイトニングを推奨しています。
(70歳:女性の方)
(50歳 男性の方)
医療ホワイトニングというのは、クリーニングとは異なり、『歯のエナメル質を漂白』する治療を指し、いわゆる「クリーニング」とは異なり、歯自体の色を白くするため、明らかに見た目が『ツルツルで綺麗』になります。
*ホワイトニングは治療です。当院では、歯科医師の監督下のもとで、国が認可したジェルを用い、安全なやり方を採用しています。これまでにすでに数百名の方に実施しておりますので、安全かつ成果がでます。
ホワイトニングの利点は、大きく3つあります。
1つ目:見た目が綺麗になる
2つ目:着色が付きにくく、虫歯予防につながる
3つ目:モチベーションが上がる
1つ目、2つ目は当たり前のことですが、3つ目の『モチベーションの向上』こそ、クリーニングと並行してホワイトニングを行う事の大きな意義となります。人は『見た目が綺麗』になると、確実に美意識が高まります。それは年齢、性別、洋の東西を問わず、人間の原則のように思えます。したがって、クリーニングと並行してホワイトニングをされる方の「セルフケア(ご自宅でのケア)」と「定期健診継続」の質は極めて高い特徴があります。
*費用面においても、自費診療では最もお手軽な費用で可能です。
🔲8月1日
:歯のクリーニングを歯科医師が行う重要性
■初期の歯のクリーニングを、歯科医師が行うメリット
野本歯科医院は、歯周病の分野、すなわち『お口の健康維持』に力を入れています。昔のように、何でもかんでも歯を抜くのではなく、『抜歯に至らないための予防』を大切にしています。というのも、歯を失う最大の理由が『歯周病』であるためです。
日本歯周病学会の元理事長『伊藤公一先生』(野本歯科の非常勤指導医)は、院内勉強会の中で、こう述べられています。
『歯科医師がしっかりとクリーニングも行うべき』
もちろん、歯科医師は治療に専念する必要があるため、必ずしもすべての患者様のクリーニングを担当することは困難ですが、少なくとも、症状が安定するまでは歯科医師が担当することが重要だと考えております。
(院内勉強会の様子。右:伊藤公一先生)
当院が初めての方は驚かれる方も多いのですが、野本歯科ではできる限り、「歯のクリーニング」においても、初期段階や治療並行時においては、歯科医師が担当することを徹底しています。その結果、歯科衛生士 と 歯科医師 間における情報錯誤が起こることもなく、担当医が、担当患者様をしっかりと把握することを具現化できます。ある程度状態が落ち着いた状況で、歯科衛生士に移行することを検討するようにしています。
歯周病の最大の敵は「プラーク」と呼ばれる、歯の垢です。これを放置すると石灰化し、「歯石」となります。歯石は歯ブラシでは除去することができず、歯科医院で専用器具による処置を受ける必要があります(歯石の除去は、クリーニングの1プロセスです)。当院では、痛みをほとんど感じない『超音波』による除去を実施しています。以下はその1シーンです。
1つ目の写真には『大きな歯石』が歯にこびりついているのが見えます。
2枚目では綺麗に除去できています。これがクリーニングです。
当院のクリーニングでは、歯石除去の他、歯面の汚れも併せて綺麗にお掃除します。
(ただし、綺麗に全てを除去することが本質ではありません。綺麗を優先し、歯を痛めでは意味がありません。有害性のないものまで除去する必要はありません)
このように、当院では、治療前と治療後を比較し、画像としてお見せします。このような