■歯だけではなく、全身を守るために不可欠
前提として、歯の健(検)診の目的は「歯周病予防」と「虫歯予防」にあります。人間が歯を失う原因の1位は「歯周病」です。歯周病とは文字通り「歯の周りの病」であり、その実態は「歯を支える骨を失う病」です。この病の恐ろしい点は、「進行していても症状がない」ということです。すなわち、『大丈夫』と思ってしまう傾向にあります。
*少なく見積もって、日本人の8割が歯周病に罹患していると言われています。
歯の不便にとどまらず、「歯周病」により歯を失ってしまうと、「転倒リスク」「認知症」などの発症原因にも大きく寄与します。
さて、歯の健康は、どこの国でも「ご自宅でのセルフケア」と、「医院でのプロフェッショナルケア」の2つに大別されます。欧米の人たちは、ご高齢になったときの「残存歯(残っている自分の歯)」の本数が、日本人よりも高い傾向にあります。
その最たる理由の1つとして、「歯科医院への診療目的」が『治療』ではなく、『予防』であるためです。欧米人の多くが、健康目的で歯科医院に来院されています。
彼らの多くは、定期的(2~3か月に1回)に歯科医院で健診とクリーニングを受けるため、常にお口の環境(プラークコントロール)が良好な状態を維持できています。そして、問題が起きたときにもすぐに発見できるため、『抜歯』などの大きな治療をする前に対応が可能です。
仮にセルフケアがしっかりできていても、歯への着色はすぐについてしまいますし、お口の細菌である『プラーク(歯垢)』が固まってできた『歯石』などは、歯ブラシで取り除くことはできず、歯科医院の『専用機械』で取り除く必要があります。その他、虫歯の発見なども、奥歯の裏側などはご本人の目では確認することは困難となります。