■小さな虫歯~中くらいの虫歯に対する治療
非常に「小さな虫歯」であれば、虫歯を取り除き、「コンポジットレジン」という、歯の治療用の樹脂を詰めることで賄えます。一方で、次のような状況では、『インレー修復』という治療が行われます。
☑ある程度の大きさの虫歯
☑隣の歯と接する部位にできた虫歯
☑かみ合う部分にできた虫歯
これらの治療では、前述したコンポジットレジン治療では予後の経過に懸念(再感染率が高く、破折しやすいなど)が生じるため、推奨できません。丈夫な素材である「インレー」と呼ばれる技工物(歯科技工士が製作する丈夫な物)を使用した治療が必要になります。
■インレーの種類は?
インレーには、金属で作られたもの(PGA、金歯)、セラミックで作られたもの(e-max、ジルコニア)の2種類がございます。前歯、下の歯など、見た目が関わる所は、セラミックで作られたもの(歯の色)を用い、見た目に関わらない奥歯などは、金属でつくられたものを基本的には用います。
■PGAとは?
「金歯」の一種ですが、マイルドな金色(上品な銀色に近い色)です。虫歯の再感染が少なく、噛んだ時の「なじみやすさ」が最も良好なため、当院ではインレー治療の50%以上でPGAを用いています。
■ジルコニアとは?
ジルコニアは普通の歯との区別がつかないほど、「自然な白」になるため、「治療しているところがばれたくない」という方など、見た目においても良い材質となります。ただし、ジルコニアの多くは、インレーではなく、クラウン(大きな虫歯に用いる治療)において多用されます。
インレーにおいては、後述するe-maxを用いる場合が多いです。その理由として、e-maxは歯との一体感が強いため、単体では脆くても、装着した後には、強い強度を発揮するためです(インレーのジルコニアは稀に外れるため)。
■e-maxとは?
e-max(セラミック)は、接着力が強く、歯との一体感が良質なため、虫歯再発率は極めて低くなります。インレー治療においては、奥歯に用いる場合が多いです。当院においても、インレー治療では、PGAに次いで、e-maxの使用が多く(40%以上)を占めています。
*セラミック治療の欠点
セラミック治療は、「審美面」と「歯との一体感(虫歯感染の低さ)」が大きなメリットになりますが、奥歯など、かみ合わせが強い部位においては、「強度」の面からお勧めできません。セラミックは金属と比したときには強度で劣ります。そのため、強度を保つためには、歯を余分に深く削る必要があります(=セラミックの厚みを増やすため)。歯を守るという観点からは、PGAのような丈夫な素材(歯を削る量が最小限にできる)を用いることが推奨されます。